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朝起きたら探索者《シーカー》になっていたのでダンジョンに潜ってみる 〜1レベルから始める地道なレベルアップ〜  作者: いかぽん


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第462話 夜襲

 王都東の市門、夜の八時をやや過ぎた頃。


 市門が閉じられて少ししたあたりで、二人の王国騎士が交代要員としてやってきた。


 今日一日、門番の仕事を終えた別の王国騎士二人が、その顔に喜色を浮かべる。


「ようやく来たか。遅ぇぞ、さっさと代われ」


「わぁってるよ、うっせぇな。ほれ、代わってやるからとっとと失せろ」


「んだとてめぇ。口の聞き方には気をつけろよ」


「あー、もう仕事上がりにめんどくせぇな。ほれ、放っといて行くぞ」


「チッ」


 門番をしていた二人と後退し、夜警の任務に就いた二人の王国騎士。


 市門脇の監視塔で配置についた男の一人は、勤務時間の半分も待たずに、愚痴を漏らしはじめる。


「あー、だりぃ。早く朝になんねぇかな」


「サボってねぇで、ちゃんと監視してろ。何かあったら俺までドヤされんだからよ」


「分かってっけどよぉ……。そういや今日あたり、この間出ていった連中が戻ってくるかもな」


「あー、アレか。レクティモまで反逆者どもを血祭りにあげに行ったやつらか。二十人ぐらいいたよな」


「反逆者どもを炙り出すのに手間取りゃあ、もう何日か掛かるかもしれねぇが」


「いやあ、もしかすると、別の理由で時間がかかるかもな」


「別の理由?」


「ほれ、反逆者どもの旗頭になってる女、クラウディアとかいったか。嘘かホントか王家の血を引いてるって話だが、まあまあ見た目がいいって聞くからよ。ぶちのめして動けなくしたら、あとはお楽しみの時間ってわけよ。全員で何日かマワしてから帰ってきてもおかしくねぇな」


「なるほどな。チッ、羨ましいぜ。俺もイキのいい冒険者の女を犯してぇわ。普通の商売女じゃ、すぐに壊れやがるしよ」


「あ、聞いたぜお前。買った女をビンタで歯ぁ何本か折った上に、腹パンでゲロ吐かせて再起不能にしたんだろ? ほどほどにしとけよ。そのうち出禁食らうぜ」


「ハッ、出禁? 『力』のない虫けらどもに何ができるんだよ。そうなりゃ邪魔するやつら全員ぶちのめして、女は無理やり犯すだけだろ」


「ハハハッ、そりゃそうか。……ん?」


 その時、王都内部へと監視の目を向けた男が、疑問の声をあげた。


「どうした。いい女でも見つけたか?」


「いや……なんかチラッと、人影が見えたような……気のせいか?」


「この時間に出歩いてるやつは、そうそういねぇだろ。ま、一応ちゃんと見張っとけよ」


「お前に言われたくねぇよ。……やっぱ気のせいか」


 勘違いだろうと思い、再びぼんやりと監視業務を始めた二人。


 だがそんな二人は、数秒後には「ぎゃっ」「ぐわっ」と悲鳴をあげて床に崩れ落ちていた。


 監視塔に現れたのは、褐色の全身鎧に身を包んだ青年と、黒ずくめの装束をまとった若い女性だった。


「ふぅっ。一瞬見つかったかと思ったが、どうにかなったな」


「【隠密】スキルも万能じゃないね。気を付けないと」


「だな。さておき、弓月たちを呼び入れよう」


 褐色鎧の青年──六槍大地は、監視塔から下りて市門の閂を外し、大扉を開く。

 黒ずくめの女性──小太刀風音は、監視塔から王都の外側へと、ランプの灯りを振ってみせた。


 風音の視線の先では、街道脇の森に隠れていた十人足らずの人物と、一体の大型モンスターのシルエットが動き出す。


 やがてその人物たちとモンスターが、市門を通って、王都内部へと侵入した。


 その後、彼らは深夜で人気(ひとけ)のなくなった中央通りを走り、王都の中心部方向へと向かっていく。

 夜の静けさの中、幾人かの鎧や武器の音がガチャガチャと鳴り響く。


 彼らが目指す先にあるのは、王城だ。

 国王ベルトルドを討ち取るべく、レジスタンスとその協力者たちは邁進する。


 遠くに見えていた王城の尖塔が、徐々に近付いてくる。


 一行は、ギリギリ王城からの監視網に掛からない場所で一度足を止めて、補助魔法を行使した。

 三人が発動した魔法により、十一人と一体全員に、土・風・火属性の魔法による加護が宿る。


 再び彼らは走り出す。

 わずかの後に、城門がすぐ眼前に見える場所まで踊り出た。


 しかし王城は、広く深い水堀で囲われている。

 熟練の覚醒者をしても、向こう岸までジャンプで飛び越えられるような距離ではない。


 昼間は下ろされている跳ね橋も、今は上がっており、城門へと続く道は閉ざされていた。


「なっ……!? なんだ、お前たちは、そこで止まれ! さもないと──くそっ! 襲撃、襲撃だーっ!」


 堀の向こう、高い城壁の上で歩哨を務めていた一人の王国騎士が、覚醒者たちの姿に気付いて声をあげる。


 一方では、二人の覚醒者を乗せた大型モンスターが、その翼を羽ばたかせて空中へと飛び上がっていた。


「グリフォンだと……!? どうして……まさか、モンスターを操っているのか……!?」


 二人の覚醒者を乗せた大型モンスター──グリフォンは、城壁へと向かって浮上していく。


 それを見た歩哨は、戸惑うばかりだ。

 一度は魔法発動の精神集中を見せ、その身に薄緑色の燐光をまとわせたが、考えを変えたのかすぐにキャンセルして城壁の上を駆けて逃げていく。


 グリフォンは強力なモンスターだ。

 熟練の覚醒者であれ、通常は一対一で戦うようなモンスターではない。


 しかもその背に二人の覚醒者を乗せている。

 たった一人で真っ向戦うべきではないという王国騎士の判断は、適切だったと言えよう。


 だがそんな彼を、再び驚かせる光景が現れた。


「は……? 人間が、空を飛んでいる……!?」


 彼が逃げようとした方向に、グリフォンとは別に、高速で飛来してくるものがあった。

 それは夜闇に溶けるような黒ずくめの女覚醒者だった。


 女覚醒者──風音は、歩哨の逃走先をふさぐように、城壁の上に降り立つ。


 歩哨にとっては、前門の風音、後門のグリフォンという形となった。


「くそっ! 何がなんだか分からねぇが、グリフォンとやり合うよりは──」


 歩哨は槍と盾を構え、風音に向かって突進していく。


 一瞬のうちに、炎をまとった刃の輝きが二度、閃いた。

 為すすべもなく、歩哨は崩れ落ちる。


「残念だけど、どっちも外れなんだ。逃げ道はありません」


 風音は二振りの短剣を、腰の鞘に素早く納める。


 そのとき、がらんがらんと、城内奥のほうで鐘が鳴る大きな音がした。

 敵襲を知らせる声が、あちこちから聞こえてくる。


 風音はそれらをひとまず無視し、城壁を乗り越えて、向こう側へと飛び降りた。


 彼女は飛行魔法の力を制御して、王城の中庭へと軟着陸する。

 そのわずか後には、グリフォンとその搭乗者たちも、中庭へと降り立っていた。


「お、おいおいおい……! ふざけんなよ! なんでこんなにあっさりと、城壁の中に入られてんだよ!?」


「飛行モンスターに飛行魔法とか、そんなのアリかよ!? 何がどうなってんだ!」


 城壁の上から、別の王国騎士たちの声が聞こえてくる。


 そんな王国騎士たちを嘲笑うように、三人の覚醒者たちは城門の仕掛けを操作していく。

 閂を外して城門の大扉が開かれ、跳ね橋が下ろされる。


 その間、城門近くの二ヶ所の監視塔から魔法攻撃が二発飛んだ。

 それらは侵入者たちのうち二人に直撃したものの、大きな痛手を与えた様子は見られなかった。

 特に魔法使い姿の少女は、ダメージを負った気配がまったくなかった。


 さらに城壁の上からは矢が二本連射で飛んできたが、それらは褐色鎧の青年の盾によって防がれた。


 堀の向こうで待機していた八人の覚醒者たちが、下ろされた跳ね橋を駆け、城門の内側へとなだれ込む。


 王城への侵入者たちは、中庭を駆け、遠くに見える城内本館へと向かっていった。


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