警察に捕まりました ~そして、現代社会の闇を見た~
リモートワークが推奨される昨今だが、自分の場合どうしても現場に立ち会わなければいけない仕事が時々あり、移動は電車を避け車を使っている。
都内は取り締まりも厳しいし駐車場代も高いので、正直あまり車では行きたくないが。
そして先日、現場からの帰り道のとある交差点にて右折待ちをし、前の車に続いて右折をすると……。
ウーーーーーーーー!!!!!!
!?
「ナンバーOOOOのドライバーさん、左に寄せて停めてください」
突然のサイレン音と共に現れたパトカーに何事かと思ったが、ほどなくして事態を理解した自分は大人しく指示に従った。
どうやら右折信号が赤になったタイミングで右折しまったようで、正直シビアすぎるとも思ったが、違反と言われたら仕方がない。パトカーの存在にも全く気付かなかった。
以下、警官とのやり取り。
警官(以下:警)「こんにちは、勢いで行っちゃいました?」
自分(以下:自)「そうですね、後続車もかなりいたので流れで……。赤でした?」
警「赤でしたね~~一応、信号無視という形になります。免許証お預かりしても宜しいですか?」
自「はい、お願いします」
警官に免許証を渡した後、点数を調べると信号無視は2点、反則金9000円。
安くはないがこれも勉強代だ。ちょうど自動車税の支払い月なので、コロナで今年の自動車税は増税したとでも思っておこう……。
さて、前回切符を切られたのはもう何年前だろうか、進入禁止と進路変更禁止違反で立て続けに捕まった時があって、これまでのドライバー人生での違反はその二回。
特に最初の進入禁止は「え!?ここが!?」と言いたくなるような場所だったので、たったあれだけでゴールドからブルーに落とされるのかとガックリきた。
(ちなみに場所を言っておくと吉祥寺駅北口のロータリー)
まあ……全く運転しないペーパードライバーでも「優良運転者」と認定されるシステムは正直おかしいとは思うけど。
その後、警官がいわゆる「青切符」を持ってきて、サインと拇印で終了……のはずだったと思うが、サインの後、それまで柔和だった向こうのトーンが一変し、こんな話を始めた。
警「それでですね、反則金をお納めになった後なんですがこの青い紙、できれば焼却するかシュレッダーにかけてほしいんです」
自「え、そんなこと言われたの初めてですね」
警「……実はですね、これも時代の流れなんですが……」
??
警「この紙、YouTubeに上げる奴がいるんです」
へ??
警「もしドライバーさんがこの紙をどこかで落とされて誰かに拾われたら、今って中学生とかでもYouTubeにアップできるじゃないですか、面白がって上げる奴いるんですよ」
自「最悪ですね……」
警「それにこれって公的な文書じゃないですか、ドライバーさんの詳細な個人情報も載ってますし、警察官の自分の名前も載ってます。もし悪い奴の手に渡ったらいくらでも悪用されて、 ”おれおれ詐欺” とかにも使われるんです」
自「……(唖然)」
警「たまに戒めとして違反切符を財布に入れてるドライバーさんいるんですけど、もしその財布を盗られたら違反切符も持っていかれます。すると盗んだ奴はそれを使って詐欺をしたり、新宿とかの "裏の名簿屋" に一枚1000円で売ったりするんですよ」
自「1000円ですか……」
警「自分も前は違反切符燃やしてくださいなんて言ってなかったんですけど、今って人の個人情報を面白半分でネットに上げたり詐欺に使う奴が本当に多いんですよ。是非お気をつけください」
自「……お話、(反則金の)9000円以上の価値がありました、ありがとうございます」
警「そう言っていただけると……(会釈) お帰り、どちらに出られます?」
自「あ、じゃあ……」
こうして自分は、違反切符に現代社会の闇を垣間見つつ、警官の元を後にした。
確かにYouTubeでは「迷惑系」など、好き勝手にやっている人間が少なからずいるから、「違反切符拾ったった!」みたいに面白がってネットにアップする輩がいてもおかしくはない。
ネットでの誹謗中傷などへの対処も今後は強化されていくそうだし、「言論の自由」「表現の自由」などとドヤってやりたい放題していると痛い目に遭う、そんな時代に近づいている気もするが、まだ当分先のことだろう。
また、違反切符に書かれた警官の実名を語って詐欺を働くというのも十分あり得るし、裏の名簿屋にたった1000円で自分の個人情報が渡り、その情報が得体の知れない連中たちの元へ四方八方流れていくと思うと、何とも気味が悪い。
そういった被害を少しでも防ぐため、自分の個人情報保護の意識を高めようと思えたからこそ、反則金以上の価値があったと警官に告げたのだった。もちろん、自分の運転を今一度見直す機会という意味でも。
実は自分も以前の青切符を自宅に保管していたので、郵便局でさっさと反則金を払い、今回のと併せてまとめてシュレッダーにかけた。
ところで。
警官の元を後にしつつ、「あ、これエッセイに書こう」と真っ先に思った自分て、一体……。