表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/145

Case_00_02-1

■ヴァルター・モーデル元帥 東部方面司令長官


 「元帥、そうモーデル君。君だ。君からは昨今他の将軍達が失ってしまった戦士のオーラと戦場の臭いを感じるぞ。昔塹壕で過ごした余としても、実に心地よい感覚だ。

 さあ、現場を知る者の目から見た、我が陸軍の様子を報告するのだ。もちろん、ロシア戦線以外の事も話して構わない」


 私の声に従い『総統の火消し』と呼ばれ、ロシア戦線での数々戦歴と武勲を誇り、今ではソ連改めロシアとの泥沼のゲリラ戦を統括する立場にある男が立ち上がり、歓談の時の陽気さを消して静かに話し始めた。

 



 要約すれば、以下のようになる。

 


 では総統閣下、わたくしの知りうる限りの事を端的に述べさせていただきます。

 

 戦争から約5年が経過し、ドイツは表面的な傷が癒えてきたように見えますし途中立ち寄った街々を見る限りそのように見えます。

 ですが、これは国防軍に関する限り、必ずしも当てはまりません。

 それは、国防軍にとっての第二次世界大戦はいまだ続いているからに他なりません。

 

 なればこそ、総統閣下は私をお呼びになったのでしょう。

 

 確かに、最盛時約170個師団、400万人を数えた我がドイツ国防軍ですが、戦争での傷と戦後すぐの動員解除により、戦後はその4分の1にまで勢力を減退させました。

 これは、戦時状態は終わったのですから当然の事です。

 兵士たちは本来の職場へと復帰しました。

 した筈です。

 

 ですが終戦から5年近くが経過した現在、我が国防軍は約60個師団の部隊を抱え、その総数は末端まで含めると150万人以上であり、しかも半数以上の部隊が実働状態に置かれ、さらにその半数がわたくしめが預かる東部方面軍に属し、ロシア人相手の泥沼の国境紛争に従事しており、これらの部隊は実質的に戦時態勢を継続し続け、国庫に重大な負担をかけ続けると同時に、国防軍自体の人的資源の運用面でも大きな負荷となっております。

 

 しかも陸上戦力全体の数字は、本国で機動戦力として待機状態が続いている親衛隊の有する約6個師団、総数20万人と空軍地上部隊を考えないで、という数字になります。

 

 また、ロシア国境にはドイツ国防軍以外にも、欧州の様々な国から駐留兵力が派兵され、国防軍と併せた総数は80万人に達しますが、あの長大な国境線を前にしてはこの数字ですら満足にはほど遠くあります。

 

 しかも、国防軍はドイツ本国以外に、英仏海峡、ノルウェー沿岸、地中海、中東、インド洋と数多に部隊を展開せねばならず、国内の予備部隊は親衛隊を除けば、極めて危険なレベルであり、これを改善するにはドイツ軍全体が、再度部分的な戦時動員を行わない限り、改善される事はありません。

 

 もちろん、どこかの地域の駐留兵力を削減するという方法もゼロではありませんが、現状に変化が見られない限り物理的にこれを行う事は、国防を預かるものとして、到底受け入れざるものです。

 これは、懸案のドイツ戦線を預かる者の視点から見ても変化ありません。

 

 そして、あくまで私の主観的視点から考えつく事は、ロシア戦線と呼ぶべき、あの忌まわしき国境線での兵力展開こそが、ドイツと欧州全ての兵力の不足を呼び込んでいるという事に集約されます。

 

 そして、現状を維持する限り、これを解決する手段も存在せず、我が陸軍と祖国はいらぬ血を流し続けると言うことにもなります。



__________________


 1. 他の者の話を聞く

  (Case_00_02- のどれかへ進む)

__________________

__________________


 2. もう終える

  (Case_00_02_06 へ進む)

__________________


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ