Phase 2-e1:バッド・ドリーム(バッドエンド1)
●米独開戦?!
「旅立ち、旅立ち、市民の皆さん、これは政府による緊急事態放送であります。おって政府からの・・・・」
首相官邸地下深くのここは、世界中の全ての短波無線傍受装置が接続され、それが全てのアメリカの放送回線を使って放出される電波の一部を傍受していた。
一体に何がどうなって、この悪夢になったのだろう? 私にはそれが不可解だった。
ただ言えることは、世界が、いや人類社会が本当に破滅に向かって驀進しているという事だけだった。
恐らく、ややアングロ同盟寄りだった日本が傍観姿勢を貫いたことでドイツが強気の姿勢を貫き、それに耐えかねたアメリカがキューバに先制攻撃を行った事が原因だろう。
アングロ同盟だけではドイツの軍事力を抑制することはできなかったのだ。
いや、ドイツ人達が自分たちの軍事力の巨大さを過信しすぎていたのかもしれない。
そしてすでに米軍のキューバ爆撃前に発射に成功した十数発の中距離、短距離弾道弾は、ロクな弾道弾迎撃システムを有していない合衆国本土に数分で到達し、アメリカのいくつかの軍事施設と街を蒸発させていた。
幸いと言うべきか、キューバの司令部が米軍の強力な通信妨害と特殊部隊による破壊工作、米軍の大規模な攻撃の前に本国にこの事を正確に報告する前に壊滅し、ドイツがキューバ基地が暴走した事を知ったのがニュークのいくつかがアメリカ本土で炸裂した後だった。
そのおかげで、少なくとも日本は最終戦争の準備を整える時間が稼げ、それを以てドイツとアメリカに対して緊急の外交声明を出そうとしていた。
すでに弾道弾迎撃網も完全稼働状態に入り、ロシア極東に配備された中距離弾道弾を吹き飛ばすための空母機動部隊と連合空軍部隊は展開を終えていた。
もちろん、北海道地域のどこかにある大陸間弾道弾は今すぐにも発射可能だったし、潜水艦の新型水中発射型弾道弾については言うまでもなかった。
全て発射されれば、少なくとも欧州の半分は焦土とできる巨大な軍事力だ。
また、国民は急ぎ避難を始めている。
疎開を断られた陛下においても、取りあえず皇居地下の重防空壕に入っていただいたとの連絡も入っていた。
あとは、この我が国の誇る軍事力のブラフがドイツに対して有効かと言うことと、基地と大都市のいくつかを吹き飛ばされたアメリカが報復を我慢して全面戦争を回避してくれるかと言うこと、そしてその双方の首脳が何とかして全面戦争を止めてくれないかという事だった。
できれば何かに祈りたい気分だが、どんな神様でもこの状況には愛想を尽かしているだろう。
さあ、戦いはこれからだ。
私も全力挙げて首相を補佐しよう。
何しろ私が傍観派に回ったのも、この悪夢の原因の一つなのだから。
もっとも、もし日本が最終戦争に生き残ったとしても、私にはあまり明るい未来はありそうにないのだが・・・
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Bad End
あとがき
ハイ、アルマゲドン・バッドエンド到達です。
人によっては二度目のここでのご対面ですね☆
しかし、いけまんせね~
主人公たる日本は時には強気の姿勢も必要ですよ。
特に、傍観はよくありませんよ。
現在の日本外交もそれを示しているじゃないですか(自爆)
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さて、何から話しましょうか。
取りあえず史実と比較すれば、自由世界の軍事力の半分を日本が勝手に握っているという事と、ドイツ第三帝国が史実のソ連よりも強大な国家だと言うこと、つまり米独の軍事力差は大した差が存在しないため史実アメリカのようなブラフがあまり通用しないという事と、アメリカは史実と違って戦争に慣れていないのが原因でしょうか。
なお、この世界では史実よりもかなり少ない量のニュークしか存在しませんので、日米独を合わせても世界を焦土とできるかは少し微妙な量しかありません。
まあ、このままうまくいけば某「遙かなる☆」世界が到来するかも知れませんが(笑)
では、本編でまたお会いしましょう。




