今年こそは目立ってやりたい…。
◇
味方ボランチが囮としてさがる動きをとると、
自身がボールをもらって...。
見事なターンから相手を振り切り、
相手ゴールの枠内ぎりぎりに、
超豪快なミドルシュートっーーー‼︎‼︎
あきらかに観客の俺等は、見事に別格の輝き
を魅せるマテウスに対して・・・。
「 うわーー!!あのミドルシュート凄すぎ!!」
「惜しすぎるの前に、凶悪すぎるだろ...w」
「うわーーっ‼︎惜しすぎるだろっ‼︎‼︎」
三者三様のリアクションをみせることに
なったが、相変わらず。
ライバルと呼ぶにふさわしい輝きである…。
相手の陣形は、
俺達と同じ、名将ペッツが流行らせた...。
【 4ー2ー1ー3】の陣形・・・。
ポジションは、俺と同じ2の左の位置、
ゲームのなかで、ボールを運べば、パスも散らし...。シュートも放つ…‼︎
指揮官の役割をこなしながら、
チームの真ん中で攻撃・守備両方に見事に厚みを
加えることができており、
対戦相手は階級上、
うえに位置するクラスを圧倒している…。
リービッヒ小4組 0 - 0 ラントグラーフェン小2組
そのうち、牙城を崩すことも叶うんじゃないのか…。
「トップ下のやつは、なかなか動きいいな…。」
テオの発言通り、しっかりと攻撃の軸として
絶妙なポジショニングが出来ているし、
ボールもしっかりと繋げられている・・・。
( それにしても、小学生3年の大会だよな…。)
□
(おっ…、上手いな‼︎)
OMF→RSH(右サイドハーフ)→FWと繋がれ、 見事フィニッシュ!
前座となる攻撃があったからか、
サイドバックがややラインをあげていて
ラインを突破されたことが原因だろう...。
「ドシュッ!!」
「ゴーーール‼︎‼︎」
得点者はリービッヒ小のFW。マテウス君は
関与しなかったに近いプレーだったが、
これで勝敗の9割は決まっただろう...。
相手の攻撃は、試合の開始からほとんどゼロ...。
ショートコーナーすら打たせてもらえな
かった雰囲気だったし、
プライド同士の戦いではあるーーが、
守備の厚さからして、
完全にセンターライン(中央攻め)からの攻撃が
不可能に視えるーー…。
「覚えておくのは、サイドバックの罠だけだな…。」
「だからな…。...!」
俺はスタジアムをでる傍ら、
クラスメイトであるビーガンの意見に同意し、
RSBの位置が微妙に高くなっているところを攻撃されたときの対応をみて…、
リービッヒ小がサインプレーのようなものを
発動させたのかと思ったが...。
( あれは…、結局。誘導だったのかな? )
せっかく裏に抜けても、味方のCBの対応は
完璧で、
初撃のほうは、完全に失敗ー...。
あれから、なんとなくむこうを狙う攻撃は
全てシャットアウトしてみせているーー。
( 時間もぎりぎりだし…、行くか...!! )
名残り惜しいが、チームメイトは
皆やる気満々で、階段を降りはじめているやつもいる…。
会うのは、決勝トーナメントでかなっー…。
友人になるためにも、ぜひ1度手合わせを
願いたいものだが、
グループ予選でまだ1回勝った程度である…。
「トンッ、トンッ、トンッ、トンッ」
( 同じ4組を率いる者同士...、)
ひいていえば...、覚醒しているかは不明だが、
これから長い戦いになるなかで、
かならず、覚えておきたい範囲だが…。
▽
【ジグナル・イドゥナ・パルク】の会場の外...。
あれからクラスメイトとすこし歩き...。
緑色で完全に辺り一帯が染まった。
ちょうど俺達が使うに相応しいサイズの
広場に辿り着く...。
「とりあえず...‼︎」
「陣形は【4-4-2】とりあえずボールまわすためにもポジションの上げ下げ、しっかりやっていこう‼︎」
簡潔に作戦の説明を纏めあげて、
試合に向けてのアップにとりかかるよう
盛り上げる…‼︎
「ほらっ...! ハインツ‼︎ 」
パシンッ...。
「いくぞっ!!!」
パシンッッ...!!!
次の試合、必ず全力で俺にマークを
ついてくるだろう・・・。
俺へのパスでミスが起きないか、プレッシャーが
かる...。
【ジョルジ・フェルディナント・ヘス】
ポジションMF。 135cm
食らいつくディフェンスが売りとされる負けず嫌いの奴…。
( 俺のところでは、ほとんど負けるつもりが
ないと言った以上...。
必ず今日もアイツを撒かないとな...。 )
パシンッッ...。
全力で頭使って止めにくるだろう…。
(むこうのヤツらのベンチワーク。こちら側
狙いだったら最悪なんだけどな…。)
出会った初日に撃破して以来、因縁の間柄
だとイジられるくらいには
ヘスとはバチバチな関係性の上に、俺達は選手層の薄い4組である...。
この大会に。
俺への皆からの期待や、
リーダーシップだけは無駄にとってきて
こちらを攻撃してくる可能性がある。
練習メニューを切り替える...。
失敗が頭をよぎる…。
無名で終わった雪辱をどうにか、晴らしたいのに。
晴れやかな天気も相まって、あきらかに熱気に包まれている俺たちにとって。
次戦も油断ならない試合になりそうである・・・。
♡