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月日が経ち、私はひーくんと一緒の高校に入学した。
この数年で、友達も出来た。笹良美菜ちゃんだ。美菜ちゃんは姉貴肌の子で、良く面倒を見てくれる。そして、ひーくんには興味を持たなかった珍しい子だ。本人曰く、
「光里?先輩って、どう見ても優奈以外眼中にない人じゃん?そんな人に恋するほど馬鹿じゃないか」
「な、なるほど…?」
「てか、こんなに可愛い優奈をいじめるなんて!ほんっと光里先輩の周りってどうしょうもない女子ばっかだったんだな(笑)そんなことしても、あの人にもっと嫌われるってわかってないんだもんな!」
らしい。
あと、私に実際に怪我をさせてきた子が何人か転校していった。
「ねぇ、ひーくん?」
「どうした?」
「私高校生になったから、流石に一緒に寝るのは…」
「何言ってるの?これからもずっと一緒に寝るよ。」
「でも…」
そろそろアウトだと思う。…たとえ可愛がっている“妹”であろうとも。
そんなことを考えていると、ひーくんのいつもより低い声が聞こえてきた。
「なに…もしかして、好きなやつでもできた?そいつと付き合うことになれば、俺との関係を誤解されるもんな」
ハハッと笑ったひーくんに、ちょっと恐怖を感じた。
…前にも感じた、ひーくんの怖さ。ひーくんが怖いなんてあるはずない、勘違いだと思っていたけど、今のひーくんははっきり怖い。
「ねぇ、優奈?俺がなんで優奈をいじめる奴らを排除したと思う?なんで男子はあんまり優奈に近づかなかったと思う?」
…やっぱり転校していった子たちに、ひーくんは関わってたんだ…。男子?確かに全然話しかけてこなかったな〜。クラス替えとか、最初は話しかけてくれても、仲良くなれそうだった子は、少し経つと何かに怯えるように、必要最低限しか話さなくなってた。なんでって言われてもな…。
「大事な妹のような存在だから?」
「ふーん?未だにそう思ってたんだ」
「ヘ?」
「妹なら、一緒に寝ても問題ないよな?」
「あ、え?一人で「一緒に寝れるよね?」…はい」
「よしよし、いい子だ」