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「…ひーくんの愛が重い」
「なぁに?あんた、今頃気づいたの?…おっそ!にっぶ!」
私、今川優奈は、最近気が付きました。幼馴染みの愛が重いことに…。
私の幼馴染みは、隣の家に住む、二つ年上の加賀谷光里くん、通称ひーくんです。イケメンさんで、お父さんが大きな会社の社長さんです。
私の家も、母の父親つまり、おじいちゃんがひーくん家ほどではないけど大きめな会社の社長さんで、そこで両親が働いているため、小さな頃からひーくんのママにお世話になっています。ひーくんとは、兄妹のように育ちました。そして、私の初恋はもちろんひーくんでした。
でも、きっとひーくんは私の事、妹としてしか見ていないと思い、気持ちを告げることはありませんでした。
ひーくんの幼馴染みと言う立場は、大変ではありました。
小学校では、休み時間のたんびにひーくんが私のもとに来るため、ひーくんの学年と私の学年の女子に嫌がらせをたくさんされました。
「あんたなんか光里くんにふさわしくないわ!」
「幼馴染みだか何だか知らないけど、みんなの光里くんを独り占めしないでくれる?」
「このブスッ!」
とか何とか。
でも、ひーくんがそれに気づくと、いっつも嫌がらせは無くなっていました。今ならなんでなのかわかります。ひーくんが脅したりしていたのです。
ひーくんが中学生になると、生活リズムに少し差が生まれ、一緒に過ごす時間が少なくなりました。それでも、休みの日には私の勉強を見てくれたりしていました。
「ひーくんおかえりー」
「おう!優奈来てたのか。」
「今日はね、優香も智則さんも忙しすぎて、帰ってこれないんだって」
「んじゃ泊まるのか。久々に一緒に寝よーぜ!俺明日は部活休みだし、勉強も見てやるよ」
「うん!ありがと!」
「仲がいいわね〜!光里、間違っても高校生になるまで手ぇ出しちゃだめよ?」
「ちょっ、母さん!」
「?どうしたの?」
「「なんでもない(わよ)」」
「ほら、優奈ちゃん、お風呂入ってきちゃいなさい」
「はーい」
コンコンッ
「ひーくん?入るよ〜」
「ん〜」
ガチャッ
「よし、優奈おいで?」
ギュッ
「あ〜、優奈は可愛いな〜。いつまでも可愛いままでいてくれよ〜?」
「ひーくんめっちゃお兄ちゃん目線だね(笑)」
「そりゃ優奈は可愛い妹みたいな存在だからな!」
…ズキンッ
やっぱり妹としか見てないよね…。
優奈は光里に恋してますが、光里は妹としてしか見てないと思ってます。