~無理な食事制限ですわ!~
さて、ダイエット、とは言ったものの、何から始めれば...。
やっぱり、食べ物を制限することかしら。
私はきっと今まで食べ過ぎたのですわ。
よし!今日から、食事制限致します!
レイラを呼んで、コックに伝えてもらいましょう!
使用人の中でも古株のリタには伝わらないように...。
リタとは、私の家の使用人の一人です。彼女はメイド長なのです。そして、昔からこの家に仕えていらっしゃる大ベテランの方で、私のことをよく気にかけてくれます。
そんな彼女に食事制限がばれてしまったら、どうなると思います?
ただでは済まないでしょうね...。
「レイラ!」
「お嬢様!どうされました?」
「私、今日から食事制限するので、コックに伝えておいてほしいの!」
「しょ、食事制限?!どうされたのですか、やっぱり、婚約破棄と、この間のお茶会が...」
「それが本来の理由だけれど、メイドたちがお父様とお母様のことを...いや、なんでもないわ!とにかく、私はロールパン一欠片で大丈夫だから!」
「なりません、お嬢様!お嬢様ったら!!!」
普段はレイラの言うことをお利口に聞く私ですが、こればっかりは聞けません!!!
ダイエットなんて、したことがないのですから、よくわかりませんが...。
食べなければ太らないのではないかしら?
しかも、ロールパンだけで過ごすのは仕方ないのです。
この世界には酵素ドリンクなどの概念はないのですから。
そう。実は私、転生してこの世界に生まれたのですわ。
もともと私のいた世界では、酵素ドリンクや、ダイエットサプリがありました。
前世でも私はふくよかな体型でしたが、特に気にすることもなかったので、ダイエットはしたことがないのです。
~夕食~
「クラリス...」
「どうしちゃったんだい、クラリス...」
「お父様、お母様。いいのです。私、頑張ります。」
テーブルの上には、いつものように並ぶお父様とお母様の食事と、私がコックに用意させた、ロールパン一つ。
いつもは、これの...そうですね、15倍以上の量はいただきますわね。
父と母は心配そうに私を見つめました。
でも、この決意は揺るぎません。両親のためにも!