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~浮気現場に乗り込みですわ!~
でも...私がしてほしくてもしてもらえなかったことを、この女はいとも簡単にしてもらえている。
私の方がずっと、彼を思ってきたのに。
そういえば、彼は私にあんな熱い視線を送ってくれたことがあるかしら。
思い出せない。
思い出せないから冷や汗が止まらない。
涙も止まらない。
壁越しに、行われる、愛の営み。
それは、私が経験したこともないようなものでした。
ああ、初めから...
初めから、エルス様は私のことなんて愛していなかった。
馬鹿みたい。
それでも、私は抑えが効きませんでした。
「エルス様!」
部屋にずかずかと入り、二人の邪魔をしました。
「誰です、この女は」
「ク、クラリス!」
「エルス様ぁ、はっきり言ってあげた方がよろしいのではぁ?私が代わりに言いましょうか?」
泥棒猫は甘ったるい声で話し始めました。
そして、部屋中に広がる、甘ったるい香り。
これは、最近エルス様から漂ってきた香水の香りで間違いありません。
ということは、以前からこの二人は、私のベッドで情事を...?!
寒気がします!