~二人きりですわ!~
「お医者様、お世話になりました。ありがとうございました。」
「いえ、また何かございましたら、お呼びくださいね。」
そう言って、医者は席を立ち、先程の中年の使用人が医者を案内し、部屋から出ていった。
それに続いたかのように、
「お嬢様、私、何か食べ物を用意してきます。コックに頼んできますね!!」
と、嬉しそうにレイラという使用人がバタバタと部屋から出ていった。
すると、侯爵婦人は一息ついて、
「クラリス、食べ物が用意できるまで、大人しくしていなさい。私たちは部屋から出るからね。」
と言った。
それを聞いたリーフィティア侯爵がキョトンとして、婦人に問いた。
「え、リル、何処へ行くんだい。」
リルというのは侯爵婦人の名前だ。
「あなた!あなたも来るのよ!!!」
リーフィティア侯爵は侯爵婦人に半ば引きずられるようにして退出した。
うーん、令嬢と二人きりになってしまった。
「...。」
「...。」
何を話したらいいのか。
「あー、ええと。」
「...ふふ。アルフレッド公爵、いいのです。無理にお話なさらなくても。」
「!そ、そうですか。」
そうか...。
女性が近くにいる場合、何かを話さなくてはいけない、という焦燥感に駈られる。
実際、話さないと不機嫌になられることが多い。
そんな中、女性に話さなくていい、と言われるのは初めてだ。
真に受けていいものなのか迷いながらも、彼女の表情を見ると今は、とても穏やかな表情をしていたので、なんだか安心してしまった。




