~カーティス、回想する。(2)~
「うちの娘の食べる姿は可愛いでしょう。」
「あっ...リーフィティア侯爵...失礼。」
「無理もないです。あの子は本当に幸せそうに物を食べる。...親バカだと思ったでしょう?思いましたね?」
「はい。」
「正直だな、あなたは。」
はは、と笑ってリーフィティア侯爵は、令嬢を愛しそうに見つめた。
「実は、この街の復興計画を考えようと言ったのはあの子なんだ。」
「...令嬢が?」
「ああ。食べ物屋が増えただろう?それは、クラリスが言う、食べ物は人を幸せにできる力を持っている、という意見から考えられたからなんだ。」
たしかに。
彼女を見ていると不思議とそんな気がしてくる。
そして、先程、リーフィティア侯爵の問いに対して肯定したのは、もちろん、「親バカ」のこともそうであるが、「うちの娘の食べる姿は可愛い」という言葉に対しても肯定したつもりなのだ。
...今、リーフィティア侯爵令嬢が良からぬ噂を立てられているのは知っている。
知っているから、なおさら倒れている彼女を無視できなかった。
あの場でも彼女の見た目を悪く言う者がたくさんいた。
その悪口は酷いもので、聞くに耐えなかった。しかし、あの場で私が彼女を擁護したなら、その悪口はもっと酷いものになったに違いない。
なので、私は我慢した。
彼女を擁護できない自分を情けなくも思った。
しかし、倒れている彼女を前にして、そんな自分への否定的な感情など、どうでもよかったのだ。
きちんと話したことも、面と向かって会ったこともない。
(自分が一方的に見ていただけなので)
そんな相手にこんな何とも言えない感情を抱くなんておかしい。
きっと何かの間違いなのかもしれない。




