へんてこでんしゃの「おばあさん、こちらへ」
ガタタン、ゴットトン、ガタタン、ゴットトン……。
へんてこな でんしゃが はしっています。
なにが へんてこかというと、まず、でんしゃの かたちが へんてこです。
1りょうめは、ペットボトルの かたちです。
2りょうめは、ぎゅうにゅうパックの かたち。
3りょうめは、シャンプーの かたちをしています。
のっている ひとも へんてこです。
金メダルを たくさん さげた、たいそうせんしゅがいます。
めだまの大きな にんじゃがいます。
おんなの ゆうれいは、じごくいきの きっぷを もっています。
カエルのマジシャンの となりには、ヘビおんなが すわっています。
『せんにん』という なふだをつけた せんにんもいます。
ほんとうに へんてこです。
えきに でんしゃが とまると、おばあさんが あわてた ようすで のってきました。
ざせきは、まんいんです。
金メダルを たくさん さげた たいそうせんしゅが たちあがりました。
「おばあさん、ここに すわって ください」
たいそうせんしゅは、つりかわに つかまると、すっと あしを あげました。
「どうです、すごいでしょ。ぼくは 7かいも オリンピックにでて、20こも 金メダルを とったんです。このくらい へっちゃらですよ」
たいそうせんしゅは、あしを あげたまま つりかわに つかまっています。
こんどは、めだまの 大きな にんじゃが たちあがりました。
「おばあさん、ここへ すわって くだされ。おばあさんに せきを ゆずらなかったとなれば、にんじゃのなが すたるでござる。さあさあ、こちらへ」
にんじゃは、バッと てんじょうまで とびあがりました。
「にんぽう『ヤモリのじゅつ』でござる。いねむりをしたって おちないのでござる」
にんじゃは、てんじょうに はりついています。
こんどは、じごくいきの きっぷをもった ゆうれいが たちあがりました。
「おばあさん~、ここへ~、すわって~、ください~」
ゆうれいは、ゆらゆらと ゆれています。
「わたしは~、じごくへ~、いきたく~、ありません~。だから~、いまからでも~、いいことを~、
させて~、ください~。そうすれば~、てんごくへ~、いけるかも~」
ゆうれいは、いまにも きえてしまいそうです。
こんどは、カエルの マジシャンが たちあがりました。
「はははははっ。それなら、ぼくに おまかせあれ。ぼくは せかいいちの マジシャン。だれも たたせることなく、おばあさんを すわらせて みせましょう」
カエルの マジシャンが、ヘビおんなに くろいマントを かけました。
「スリー、ツー、ワン……、ゼロ!」
マントを めくると、ヘビおんなが きえていました。
「さあ、おばあさん、こちらへ どうぞ」
カエルの マジシャンが、とくいそうに わらっています。
こんどは、『せんにん』という なふだをつけた せんにんが たちあがりました。
「えらい!」
せんにんは、大きな こえを だしました。
「みんなして、おばあさんに せきを ゆずろうと するなんて……。うう、すばらしい! わしは
かんどうした!」
せんにんは、なみだを ながしています。
「わしが せきを ゆずろう。みんなは すわってくれ。なにをかくそう、わしは、かみさま なんじゃ」
せんにんが、なふだを はずしました。
そのとたん、せんにんの からだが、金いろに ひかりかがやきました。
まぶしくて、みんな 目を ほそめるくらいです。
「さあ、おばあさん。ここへ すわりなさい」
せんにん、いえ、かみさまが やさしく ほほえみました。
さあ、おばあさんは どこへ すわるのでしょう。
みんなが じっと みまもっていると、おばあさんが あっ、とこえをあげました。
「あらいやだ。わたしゃ、のるでんしゃを まちがえちゃったよ」
おばあさんは あわてたようすで、でんしゃから おりていきました。
ズコッ!
みんな ずっこけるしかありませんでした。
おしまい
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