その二 ラストバトル2
「だから命の重みが分からない。けれど楽しいからただ何となく、今日まで戦い続けて来た。たくさんの命を犠牲にして。……それこそが、君というクズの本性だ!
――――〝ヒトデナシ〟の君に、命を背負う資格は無い!!」
「お前みたいな奴の言う事なんか、誰が真に受けるかよ」
「そういう君は、正義の味方のつもりかい?」
剥き出しの敵意で噛みつく本道君に、所長が飄々とした顔で切り返す。
「何?」
「――――良い機会だ、教えてやろう。……怪物はね、元々人が作り出した生物兵器なんだよ。まぁ、あまりにも効率が悪いものだから、今はもっぱら、核兵器や武器の運搬に使われているけれどね。しかし時折、何かの拍子に脱走し、野生化することがある。それを駆除し、隠蔽することこそが、君たちの役目だ。……ははっ、知らなかったろ?」
本道君の横顔から、奥歯がこすれ、擦り減っていく音が、ここからでも聞こえてくるようだった。
「つまるところ、怪物は〝悪〟ではないし、それを駆除する君たちも、正義の味方なんかではない。そもそも、怪物だろうと生物だろうと、ただ生きているというだけ。それは、君たちもまたしかりだ。――――そこに、正義も悪も、存在しはしないっ!」
驚くほど低い、冷めた声が、被せるように問いかける。
「……知ってやがったんだんだな、初めから、全部。――――その上で何もしなかった!!」
息を呑んでいる暇もなく、三度、所長の高笑いが響き渡る。
「ご名答。いつから気付いていたんだい?」
「資料をもらった時からっすよ。ハンハンドの生態は、ほとんど分かってないはずなのに、あれはやけに詳細だった。しかも、作成日が明日になってた」
「え?」
「つまり、あの資料には、今日、これから分かることがまとめてあったんだ。所長は、それを元に作戦を立てた。そうして俺達をここに誘導し、バズーカを使わせるのを阻止しようとした」
本道君が一息で言うと、所長は、いつも通りの涼しい顔で、快活に笑った。
「じゃあ、所長は――――」
「そうだよ」
言い切る前に遮り、所長は再び、口元に笑みを浮かべた。ぎらりと剥き出しになった歯茎はいやに赤く、唇は失せたように薄い。
「――――僕こそが、三人目の時間跳躍者だ」




