その二 作戦会議
「――――使用するのは、種類の異なる四つのバズーカと、高濃度蛍光紫外線放射灯、そして、〝カラーチェンジャー〟です」
「カラーチェンジャー!? でも、あれは……」
僕が素っ頓狂な声を上げると、本道君が前を向いたまま何でもないように答えた。
「心配すんな、廃工場に落ちてたやつを回収しておいた」
言いながら、手のひらに乗せて寄こしてくる。
「ほら、お前の分だ。今のうちにつけとけ」
「あ、あぁ……ん?」
受け取ってから、かなり前に既にカラーチェンジャーをつけていたことを思い出す。しかし、
「…………ない」
目を見開き、恐る恐る、白目の部分に指先で触れると、ぬめりとした眼球の感触が直に伝わって来た。そこに収まっていたはずの、コンタクトレンズがなくなっている。保護メガネと一緒に落としてしまったんだろうか。
「どうした?」
突然本道君に覗き込まれ、心臓が止まる心地がした。
「……あぁ、いえ、何でもないです。――――続けて下さい」
慌ててそう告げる。京子さんが仕切り直すように小さく咳払いをして、一呼吸置いてから再び話し始めた。
「この資料によると、ハンハンドは胴以外にも日陰になっている建物の側面、及び地面から直接腕部を生やすことができるようです。しかし、広場や公園などの開けた場所や日当たりの良い場所には胴以外からは腕部を展開できず、事実一度目の襲撃時、丘や公園、広場等は胴から百メートル圏内に位置していた場所でも呑み込まれることはなかったとの報告があります」
「――――つまり、開けた場所を経由していけば、胴体まで近づけるってことですか?」
緩やかに続くカーブに気を取られている柴崎さんの代わりに、加奈子さんが身を乗り出して尋ねる。
「えぇ、恐らくは。……ただ、開けた場所がそう都合良く点在しているわけではないので、どこかで腕部に侵食されたエリアを通過しなければなりません」
「――――それで、薫のバズーカってわけか」
カーブを曲がり切った下り坂の手前で赤信号に当たり、柴崎さんが引き継ぐ。
「はい。今回は、下崎大通りから噴水広場、噴水広場から中央集会場にかけての二か所に、一回目は〝バズー改EXジェット〟を、二回目には〝バズー改EXスペシャル〟を使用し、腕部を一時的に退け、通り道をつくります」
……なんか、段々違いが分からなくなっていく除菌用洗剤みたいなネーミングだな。
「だが、腕はまたすぐに伸びて来るんだろ? 生身で通るのは危険じゃないか?」
「――――ですので、〝車ごと突っ込め〟……とのことです」
「「「――――はぁ!?」」」
京子さんが、眉間に目一杯しわを寄せ、苦渋に満ちた表情で答えると、全員が声を揃えて素っ頓狂な声を上げた。




