表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪物の通る歩道橋  作者: 羽川明
二章
7/87

鉄くず置き場周辺

 ほどなくして視界が晴れると、そこは見知らぬ廃工場だった。鉄くずや、大きく変形した何かの部品、ガラクタなどが辺りに散乱している。場所が変わったせいか、空では先程は隠れていた満月がしっかりと出ていた。

「良かった、ちゃんと招集されたみたいね」

 聞き覚えのある声に振り向くと、上杉さんが居た。両脇には、並ぶようにして立つ男が二人。年齢は、同い年か、僕より少し高いくらいだろう。どちらも上杉さんと同じ白衣に身を包んでいて、一人は寝癖の目立つ無造作な黒髪、もう一人は、保護メガネではなく、横一文字に赤い線が走った黒いリング状のものを頭からかぶっている。生真面目そうな外見ともマッチしていて恰好良いけど、ちゃんと前は見えてるんだろうか。

「あの、ここは……?」

「見りゃわかんだろ? 廃工場だ」

 上杉さんの右に立つ、ぼさぼさな髪の男が答える。目つきが悪く、気だるげな背中は酷い猫背だ。

「……それより、自己紹介がまだだったな。俺は本道明(ほんどうあきら)。特技は近接戦闘だ。皆からは本気って呼ばれてる。お前も好きに呼んでくれ」

 ところが、その声は見た目と裏腹に高く、予想外に親しみやすい声色で、第一印象は脆く崩れ去った。本道君は上杉さんの隣に親指を立てて示し、さらに続ける。

「こっちは風間――――」

 言いかけて、本道君の声が唐突に途切れた。

『百五十メートル南西にて破壊衝動(しょうどう)検知。ステージ1、推定危険度:四』

 黄色と黒の斜線をバックに〝WARING!!〟という真っ赤な太字で画面が覆い尽くされ、ナビゲーターが少し強張った声で警告する。警告文が取り払われると、三人からは笑みが消え、緊迫(きんぱく)した顔つきになっていた。今の警告は全員の保護メガネに流れていたようだ。

「続きは今度にしよう。俺達は工場の中を見て来る。お前は風間とここに残って援護してくれ」

 本道君は一度全員の顔を見回すと、すぐに加奈子さんと連れたって工場の中へ駆け込んで行った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ