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その二 誤差
「――――ある日突然、見慣れていたはずの街並みが、大きく変わっていたことは無いか?」
「……あの――――」
「――――無いはずの場所に、当たり前のように電柱が建っていたり、いつも混んでいるはずの道が、やけに空いていたり……」
「……」
「住んでいた家が、無くなっていたり」
「――――っ!」
思わず、息を呑んでしまった。自分の両目が驚きに見開かれている様が、手に取るように分かる。坂本さんがそれに、気付かないはずが無かった。図星か、とでも言いたげに、にやりと微笑を浮かべる。
「どうして、それを……?」
――――唐突に響いた電子音が、その先を遮った。
「――――もう時間が無い、説明は後だ。行くぞっ!!」
言って、坂本さんは僕に背を向けると、夜空を見上げ、保護メガネのふちに手をかけた。
「待って下さい、どこへ行くんですか!?」
「本部だ。――――そこに、すべての答えがある」




