その五 再び
『ヒッヒヒヒャァッ……』
僕とほぼ同じくらいの体格の人影は、黒く塗り潰された口元を裂いて真っ白な歯を並べ、奇妙な音階で笑った。こちらを見据える双眸は、陽の光に晒さらされてなお深紅に輝いている。
「……なんなの、あれ」
「なんだあの目…… あんな奴、見たことないぞ!」
上杉さんは自分の目を疑うように凝視し、本道君が珍しく焦った声色でまくしたてた。
「俺もだ。こんなのは、初めて見た」
どうして? 今すぐ誰かに、問い掛けたくなる。けれど振り返ると、残る加賀山さんさえもが、困惑と恐怖が綯い交ぜになった顔で呆然と立ち尽くしていた。
「……どうして?」
僕の呟きは、しかし誰にも届かない。どうして? この人達ならきっと、当たり前のように倒すんだろうと、信じてたのに。どうして誰も――――
――――知らないんだ、この怪物を。
ド素人にも程があるこの僕が、四日も前から知っているというのに。
『ナアアァァーーーーーーーーーーーーーハァハァハァハァッ!!!!』
『人ト非ひととひ、危険度:四』
高笑いを遮さえぎって、ナビゲーターはただ、いつも通りの口調で言った。




