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ゴブリンの名前を覚えよう!前半戦。


 ゴブリン「俺はドゥ。20歳。日中は山に狩りへ出かけたり、湖で魚をとったりと、まぁこの家の食料調達係だ!よろしくっ」


 「キキキ、キキキキキ」


 「キャハハハハハハハっ!!」

 「キキキキキキキキキっ!!」


 まるでお手本のようなドゥの自己紹介に、サンクが自分の両耳を引っ張って何か言った。

 それを聞いてか、見てか分からないが、ユイとセプトがケタケタ大笑いした。

 えっ、ごめん全然付いていけてない。


 「もう、我が妹ながら毒舌だなぁ〜」

 

 いやいや、そんな嬉しそうに言っても説得力がないぞ兄よ。

 そしてやっぱり、笑いのポイントが掴めないぞ。

 ユイとセプトにはバカウケしているが。


 「今のは、ドゥにいの自己紹介に、『まるで、山ザルね』って言ってたんですよ」


 ベッドに腰掛ける私のすぐ近くの丸椅子に腰掛けてるドラm……スィスが教えてくれた。


 「おぉ、なるほど」


 思わず感心してしまった。

 よくキキキの音だけで分かるもんだ。


 「なるほどじゃないですよ〜」


 恐らく、自分が山ザルと表現された事に私がなるほどと言ったと勘違いしたドゥが、悲しそうな声を出したが、ウケ狙いなのはバレバレだ。

 ユイとセプトが涙目になりながら大爆笑している。


 「はいっ、次はアン!」


 次に自己紹介リレーのパスを受け取ったのは、アン。


 「キィキィ〜。キー、キッキーキキィキキキキィキキキイキキキキキキキ〜キ。キィキキキキキ。キキキキキ〜」


 「よ、よろしくね〜……かな」


 やっぱりなんて言ってるのか分からん。

 何やら手をパッパと動かしたりしていたが何かのジェスチャーだろうか……


 「今のはですね、『アンです〜。んー、日中は香水の管理や開発をしていま〜す。ドゥとは双子。よろしくね〜』だそうです。だからお客さん、ナイスリプライですっ」


 またしてもスィスが通訳してくれて、今度はグッジョブまでくれた。おっ、おう……

 ってか、アンとドゥは双子だったのか!


 「次、トロワ!」


 トロワっていうと、あのクワを持った謎の水色ゴブリンだったかな。

 指名されたトロワは、かぶりついていた骨付き肉から歯を離した。


 「トロワ。畑作担当、暇だったらいつでも野菜かじりに来ていいから」


 あっ、それでクワ。

 なーるほどねぇ。確かに、畑作にクワは欠かせない……だからってクワ携帯しなくても!!


 「あと、トロねえは戦闘担当でもあります」


 スィスが付け加えた。

 戦闘?あぁ、忘れるところだったが、ここは一応ヘルガーデン第3フロアの中だったな。

 だったら変なモンスターが襲ってくることも無いことはないのか。


 「次、カトロ!」


 カトロ。あの兄に引きずられてきた可哀想な青色ゴブリンか。


 「キィ……」


 ほらほらほら、めっちゃ不機嫌そうじゃねぇか。

 年頃の男の子はそっとしておいてあげて〜。

 

 ──ガツンッ!


 えっ……

 

 不機嫌そうにしていたカトロの頭に鉄製の重りが先っぽについた木の棒が振り下ろされた。


 「キキィ!キキキィキキ!」


 それは、トロワのクワだった。

 痛そう……

 今のは多分、「いてぇ!何すんだよ!」だな。


 しかし、カトロの頭にクワを振り下ろしたトロワはカトロの言葉には一切反応せず、もう片方の手で骨付き肉にかぶりついて目もくれない。

 その態度にカトロはギリギリと歯を食いしばっている。


 「まぁまぁ、カトロ」


 そこへ、兄であるドゥが弟をなだめ、自己紹介の続きを促す。

 ドゥ、初グッジョブ!


 「キキキ。キキキキキキキキキキ」


 「『カトロ。武具づくりをしている』だそうです」


 ほぉ。あれか。

 ゲームの世界でゴブリンが剣持ちゃソードゴブリンになる的なあれか。

 けど、それは人間たちから奪っているイメージだったが、ここでは自作してるのね。


 「次、サンク!」


 橙色のツインテだな。

 かなりチビだが、気は強いって感じだ。


 「キィキキ!キキキキキーキキキキ、キキキキィキキキキキッキキキ」


 これまた手を大きく広げたりして大袈裟に説明されたが、何を行っているのかからっきしだ。

 スィス、頼む。


 「今のは、『サンク!ピチピチの12歳♪お客様の専属メイドになりとうございます♡』だ、そうです」


 「キッキキーーーキ!!!」


 はい、私がフリました予想してました案の定でしたごめんなさい!


 そしてまたサンクの「言ってなーーい!」が出ました。


 そしてまたユイが「お帰りなさいませ、ご主人様♡」とかやりながらスカートの裾を広げてみせるもんだから、セプトが大笑いしている。


 「ほらほら、お行儀悪いぞ」


 と、優しく叱りつつも兄よ、なぜそんなに嬉しそうにユイとセプトの頭を撫でる?


「えー、ホントはですね『サンクよ!普段妹たちと、家事を分担してやってるわ』だそうです」


 そこでようやく、キィキィ言っていたサンクが落ち着いたことから、これは本当に言っていたことなんだろうと察しがついた。


 これでようやく、ゴブリン10兄弟の半分まで自己紹介されたか。

 ふぅ、我ながらなかなかよく覚えてるぞ。

 後半も頑張りますか!




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