この話は、異世界チート無双モノではありません。
【リップ・チュチュ】
女 12歳
LV1
魔法適性:水・雷
体力:22/22
魔力:6890/6890
筋力:5
敏捷:100
物防:14
免疫:13
魔耐:29
幸運:30
スキル:【『鑑定(3)』】
このスキルを習得しますか?→『真顔』『攻めの姿勢(1)』
《魔法力高めココアフロート系女子》
……ほほー。
って、チュチュも私とタメなのか。
初めて知ったわー。
魔法適性は、水と雷。
水って。やっぱり君のテーマカラーは水色なのね。
予想通りだ。
雷は意外だったけど。
ん?雷ってさっきから話題のあの雷か。
ってことは鑑定が習得できるのかー。
……って、もう習得してやがる!?
「チュチュお前、いつの間に鑑定習得してたんだよ」
あっ、別にこっそり覗いてたつもりだったのに、うっかり聞いてしまったとかじゃなく、私は始めっから堂々と見ていた。
あ、それはそれでなんか嫌だな。
まぁいいや。こいつ、全然気にしてなさそうだし。
「ワームツムリと遭遇した時にコレー様の声がして、先にくれた」
あー、なるほどあの時か。
だったらその時に言ってくれよな。
ビックリしちゃったじゃねーか。
「っておまえ、あの鬼死女神と脳内会話できるのか!?」
「できない。あのときコレー様、“忘れてた。女の敵に付き合わせるお詫び。”って言ってたから多分あの時が特別」
なんだよ。
もし会話できるから、あの鬼死女神に文句言ってもらおうとおもってたのに。
もう少し、チュチュのプロフィールを見てみよう。
チュチュの“スキル”と“このスキルを習得しますか?”コーナー。
スキル:『鑑定(3)』
このスキルを習得しますか?→『真顔』『攻めの姿勢(1)』
……ツッコミどころありすぎだろ!
『真顔』って、スキルなのか!?
なんの役に立つっていうんだよ。
器用より使えねーんじゃねえの?
それと『攻めの姿勢(1)』
うん。思い当たる節がある。
これもあれだ。ワームツムリ。
確かにあれは攻めだわ。
巻き込まれた私は溜まったもんじゃないがな。
絶対に習得させないでおこう。
えっ、スキルレベルがカンストしてないってことは、まだ上がるのか?
あれ以上『攻めの姿勢』が上がるのか?
嘘だろ?
これは何としても習得を阻止せねば。
でないと私までその無謀に巻き添え喰らってエライ目に……
あのワームツムリの悲劇を繰り返してはならない。
あれは私の中で、ちょっとしたトラウマになっているからな。
「わぁ、チュチュさん魔力が6890もあるんですか!
私、こんなの初めて見ましたよ」
私たちのプロフィールをギルドの書類に入力していた職員さんが、突然驚きの声をあげた。
見ると、確かにチュチュの魔力は私のと比べてずば抜けていた。
え、6790も私と差があるじゃん!?
なんでだよ!
なんでそんな差が生まれたんだよ!
普通、異世界転生者って、魔力大量に持っててチート設定がテンプレだろ!?
なんで異世界転生者の私よりチュチュの方が魔力大量に持ってるんだよ!
……って、一応こいつも転生者なのか?
そーいやー私はチュチュについてまだ何にも知らないな。
興味無いが。
はぁ……なんかもういいや。
そもそも、私はあの鬼死女神に女嫌いの荒療治させられるためにこの世界へ飛ばされたのだ。
チート設定をつけてくれるはずがない。
潔くチートで無双する夢は諦めるとしよう。