キング戦。逃飛行。
私の腰に括り付けれたロープが指し示した方向は、下ではなく横になっていた。
もっと正確に言うと、第3フロアの入り口へと。
「リリス!『温度操作』!」
私と同じく、腰にロープを括り付けたチュチュが、その入り口の前で叫ぶ。
分けわかんねぇ。
分かんねぇが、やるしかないっ!
「“我ここに望む 全てを我の手の中に この温度を上げよ”!」
キングの手の平が熱くなると、キングの皮膚を覆う粘液が流れ、その下からウロコ模様が現れた。
「あつい!!」
しかし、そのウロコも熱で溶け、反射的にキングは私から手を離す。
そうか、キングの皮膚がウロコ蛇と同じウロコで覆われていたのか。
だったら、キングがチュチュの「ショック」で感電死しなかった理由も分かる。
それに、このウロコが熱に弱いという事も。
はじめに「温度操作」が通用しなかったのは、粘液のせいか。
なら、1度「ショック」で粘液を蒸発させてから「温度操作」で剥き出しになったウロコを熱せばウロコは溶ける!そういうことだったのか。
私の体が解放されると同時に、体がロープに引っ張られた。
チュチュが穴へと飛び込んだのだ。
当然、私の体も吸い込まれるようにして穴へと飛び込む。
「まてえええええ!!」
キングが恨めしそうに手を伸ばすが、拳1つ分、間に合わない。
キングの巨体がみるみる遠く小さくなっていき、ヘルガーデン第3フロアへ飛び込んだ私たちの目の前から第2フロアの王は姿を消していった。




