キング戦。バカって言ったほうがバカなんだ…
「やったか!?」
火の海がキングを包んでよく見えない。
けど、これは殺っただろ!?
やった、やったぜ!
あのバカモンスターを倒したぜ!
カエルの丸焼き……いや、あのぶんじゃあ黒焦げで食えやしねぇだろうな。
それともドロドロに溶けちまったか?
カエル肉が食えないのは惜しいがそんな事はこの際どうでもいい。
私はさすがに疲れ、ドサリと落ちるようにして地上に下り立った。
とてつもない運動量だった。
それに魔力も消費した。
ちょっと冒険者カード見てみっか。
【ユリ・リリス】
女 12歳
LV4
魔法適性:火・闇
体力:28/58
魔力:4/100
筋力:35
敏捷:128
物防:78
免疫:890
魔耐:5
幸運:1
スキル:【『女嫌い』『バスト(B)』『器用』『温度操作(2)』『ドレインタッチ(2)』『ツタ渡り』】
このスキルを習得しますか?
《女の敵》
チーム所持金:500コレイ
あー。やっぱりな。
体力相当減ってるし、魔力なんざ4だぜ。……って、4!?
私の魔力燃費悪すぎるだろ!
あと1発「温度操作(2)」が撃てるかどうかってとこじゃねぇか!
まぁ、はじめのうちにキングにいろいろマックスファイヤーで試したりしたし、こんなもんか。
って、おぉ!
Lvが4に上がってる!
いっきにプラス2されてる!
まぁ、あれだけ奮戦すればな。
Lvも上がりますわ。
「リリス」
と、ちょうどそこへチュチュも降りたって来た。
「おう、終わったな」
チュチュは魔力はかなりのものだが、体力は雀の涙ほどしかない。
多分チュチュもLvが上がっているだろうから、早く体力値が上がってせめて猫の額ほどにならないかと思うのだが……
「んじゃ、早速第3フロアへ行きますかっ」
その時だ。
──ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッ!!!
突然の地鳴りと共に激しい縦揺れ。
私とチュチュの体が大きく傾いた。
「な、なんだ!?地震か!?」
いや、違う……
この揺れには覚えがある。
まさか……!?
「おいおい……
本物の化け物だな……!」
炎の海から出した顔は、粘性の液が糸を引いている。
血走った目玉はこぼれ落ちそうなほど見開かれ、瞳孔がギョロギョロギョロギョロとハエが飛び回るのを思わせる動きで動いていたが、私たちと目が合うとピタリと動きを止め、ロックオンした。
ははっ……キング、
お前ってば不死身かよ。
「バカじゃねぇの……こんなの勝てっこねぇ……」
あの時私は、こんなバカモンスターなんか怖くともなんともねぇやと思った。
キングの怒りの言葉は低能で、バカ丸出しで、理性の欠片もない劣等種の遠吠えだった。
感情に任せて暴力でねじ伏せる事しか知らない、無能な愚王だった。
だが、再び放たれるその言葉は、あの時のそれとは比べ物にならない力があった。
「ばかっていったほうが、ばかなんだ」




