粘液プレイはお好きですか?
【リップ・チュチュ】
リリスにキスをすると、リリスの呪いの侵食速度が遅くなる。
無表情水色女。
チュチュにワンピースを剥ぎ取られた私は、この粘液まみれの体を洗い流すべく、チュチュと並んで水車シャワーを浴びる決意を固めた。
私はなるべくチュチュの方を見ないように努める。
「いいか、絶対に私に触るなよ?」
ゆっくりと回る水車に手を伸ばし、手から腕へ、腕から肩へと水を伝わらせる。
はぁ……
ドロドロした粘液を水が流していく。
水を含んだ粘液は、そのヌルヌルさを増して、私の体の上から下へ、スルスルと落ちていく。
──チョボチョボチョボチョボ……
うーん。
──チョボチョボチョボチョボ……
……浴びた気がしねぇ。
もっと一気に水が欲しいな。
ザバーッて。
もう少し手を伸ばして、上の方から水を伝わらせれば、たくさん浴びられるか?
うーん、うーーん……
ちょっとこのロリ体型だとギリギリ届かないな。
背伸びして軽くジャンプすれば届くか?
よーし、タイミングを見計らって……えいっ!
「あっ……」
私はなんと愚かなことを。
体を伝ったヌルヌル粘液は、私の足下に落ちていた。
そんな足場の悪い中でジャンプなんかしたら、どうなるかなんて容易に想像できたろうに。
案の定、着地した時に私は足の下に流れ込んだ粘液に足を取られ、それはそれは見事にツルッと滑ってしまった。
更に悪いことに、私の倒れた方向は、チュチュが水浴びをしていた方向だ。
“絶対に私に触るなよ”
なんて言ってしまったのはフラグだったらしい。
先に触ってしまったのは私の方だけど……
──ステーーン!
私たちは、まだ粘液が残る体で組み合うようにして倒れ込んでしまった。
「いってぇ……」
特にどこがという訳ではなく、反射的にそう言っただけだ。
そんなことより、何がどうなった?
「あっ……」
ヤバイ。
この状況はヤバイ!
自分の血が引いていくのが分かった。
私は迂闊にも、粘液まみれの体でジャンプし、案の定ヌルヌル粘液に足元をすくわれ、チュチュの方へ倒れ込んだ。
そして今、チュチュの上に覆いかぶさるようにして私の体がチュチュの体と触れ合っている。
私の頭のすぐ横にチュチュの頭があり、チュチュの息の音が聞こえる。
その音に合わせて、私のまだ小さな胸と、これまた小ぶりのチュチュの胸が上下する。
胸と胸を突き合わせ、そのやわらかい感触越しに心臓の音が伝わってくる。
私の左脚は地面の感触しかないのだが、右脚はチュチュの両脚に挟まれて温かい。
お互いの体にまだ残っている粘液のせいで、私の体がチュチュの体の隙間に入り込むように、深く滑り込んでいく。
(さ……さいあくだぁぁぁあ!!!)
私は心の中で絶叫した。
この状況、普通の男子ならラッキースケベとかいうやつか?
しかし、私にとってはアンラッキーも甚だしかった。
女とこんなにも体が引っ付くなんて、ありえねぇ。
願わくは、大量の聖水でこの身を今すぐ清めたい!
だったら今すぐ私は体を起こすべきなのだろう。
だが、私はなにか違和感を覚えた。
それがなんなのか、はっきりとは分からない。
この感じはなんなのか……
「……リリス、重い」
うっ……
「ご、ごめん」
……ん?
あれ?チュチュさん、それだけですか?
こう、もっとなんかあるでしょ?
このヘンターイ!ビンタパッシーンッ!とか、
リリスさんのエッチー!お風呂の湯ザバーン!とか。
いや、そういうの期待してたわけじゃないんだけど。
いま私の体が女だからか?
それともそのお約束は2次元限定なのか?
にしてもチュチュの反応が薄すぎというか何というか……
普通に起き上がって体洗い始めているし。
「リリス、月が出ないうちにそんな事しても何の意味もない。それにリリスの胸はまだ小さい」
あ、そう思われたのね。
私が、あの鬼死女神にかけられた、胸が日に日に成長してしまうという呪いを私が遅らせるためにした行動だと思ってくれたと。
あ〜よかった。
何がよかったのか、いまいちピンとこないが取り敢えずよかった!
けど待てよ?
今のことについてチュチュはスルーしてくれたわけだが、チュチュは私の呪いの救済処置として私にキスされる役割を担ってしまった事について、どう思っているのだろう?
もっと率直に言うと、チュチュは私とキスするのは嫌ではないのか?
私なら嫌だ。
いや、私が女嫌いだからというのを別にしても、出会ったばかりの同性、中身は男、しかも3次元の女は受け付けません!とか言ってるやつに利用されるがまま、あの鬼死女神の言いつけでキスするなんて、想像しただけでも腹ただしい。
「あのさ、チュチュは嫌じゃないのか?」
「……?」
「私と、その……キスするの」
あぁ、何だこのセリフ。
これじゃあまるで、私がチュチュとキスする気満々みたいじゃんか。
ってか、嫌だ。って言われたらどーするんだ!?
いや、嫌じゃないって言われても困るけれども!
これは聞かなくていいことを聞いてしまった!
「いいい、今の質問なs……」
「リリスが女の子のこと嫌いなのは知ってる」
!?
あ、はい。
「だから安心して。キスは私からしてあげるし、リードもしてあげるから」
「……あ、ありがとう。ございます……?」
どういう意味だ?
結局、嫌じゃないってことか?
キスはチュチュからしてくれるのか。
それは私からするのは勇気がいるし、その方が付き合わせてしまっているチュチュのタイミングでできるから良いのだろう。
それと、リードもチュチュがしてk……
「って、リードって何だ!?
キスするだけだぞ?
いや、だけって言い方はあれだが、キスするのにリードも何も無いだろ!?」
「リリス、洗った服を干してくる」
「無視すんな!」
チュチュは、いつの間にか自分の分と私の分のワンピースまで洗ってくれており、それらを持って水車小屋の中へ、物干し竿を探すために、入っていった。
「って、おい!服が乾くまでどーするんだよ!?
おい!おーーーい!」
体を洗い終えてからしばらく、私とチュチュは、ワンピースが乾くまでの間、藁しかない水車小屋の中で藁に包まるようにして過ごしました。