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ゲコゲコッばとる!


 「あっるっこー、あっるっこー♪」


 私たちは蒸し暑いジャングルの中を意気揚々と進んでいった。

 まぁ、意気揚々なのは私だけなんだが。

 なーんでかな?チュチュの機嫌が悪い気もしなくはないが……

 私なんかした?

 うーん………………ま、いっか♪


 

 「ゲコッ」


 「ん?」


 「ゲコゲコッ」


 うぉっと、モンスター発見っ!

 しかも超ザコそうなカエルだ。

 

 カエルにしちゃあ大きさはかなり大きく、私とチュチュが両手を繋いでできる輪っかにギリ収まるくらい。

 赤地に紫色の斑点模様と、いかにも毒性ヒキガエルって感じのやつだ。


 「毒を吐くカエルのモンスターなんざ定番中の定番だな

 これは遠隔攻撃に限るぜ」


 と、いうわけで私の持っている攻撃スキル2種類のうち使うのは「温度操作(2)」。



 「“我ここに望む 全てを我の手の中に この温度を上げよ”!」



 「ゲコゲコッ!」


 「なぬ!?」


 ちっ、すばしっこい奴め。

 お得意のジャンプで私の温度操作をかわすとはな。


 「ボエッ」


 「うぉっと!?」


 あっぶね!

 こいつ口から毒を……ってちがうだと!?


 「口からツルのムチ!?」


 うげぇ……気持ち悪!

 毒々しいカエルは見た目のまんま毒を吐いとけばいいものを口から長いツルのムチがビヨンビヨン出てきてる……


 なんで嗚咽しないんだ?

 いや、目はヤバイけど、あれは元からだろ?

 これはこいつの能力なのか?


 「チュチュ、鑑定だ!」


 「ヴァイン・フロック。

 口からツルのムチを出す。個体によってツルの種類が違い、毒の棘を持つツルを操る者もいる」


 「やっぱ毒あるやつもいるんかい!

 んで、こいつは毒持ちなのか?

 チュチュ!ツルを鑑定だ!」


 私は、カエルが容赦なく打ってくる紫と黄色のツルのムチを、木製盾で防ぎながらチュチュに指示する。


 チュチュも軽い身のこなしでツルを見事に避けている。


 「ツタウルシ。

 素手で触れると死ぬほどの痛みが1週間は続く」


 「毒やんけ!!」


 死ぬほどの痛みが1週間とか、ぜってー無理!

 触れたら即アウトってことじゃねぇか。


 「ゲコッ」


 そして恐ろしいのがこの起動力。

 カエルならジャンプ力あって当然なのだが、ヴァイン・フロックはジャンプした後、口から吐き出してるツルを見事に使いこなし、空中で軌道を変えてくる。

 ちょうどターザンが、アッアア〜!とかいいながらジャングルの中を右往左往する感じだ。


 「ボエッ」


 ──バシン!


 「ボエッ」


 ──バシン!


 「ボエッ」


 ──バシン!




 ツルの長さは案外短い。

 大体2メートルが最大といったところか。

 それでも自由自在に使いこなすソレは厄介だ。


 にしても……



 「あぁもう!音がいちいち気持ち悪いんだよ!

 カエルはゲコゲコッとだけ言ってろ!

 なんだよ、ボエッって!

 そこはゲロっ!だろ?

 ……いや、それはもっとアウトか……」


 

 「ボエッ」


 ──バシン!


 「ボエッ」


 ──バシン!


 「ボエッ」


 ──バシン!



 「えぇい、もういいわ!

 “我ここに望む 全てを我の手の中に この温度を上げよ”!」


 「ゲコゲコッ」


 くっそぉ……当たらねぇ!



 「“馳せる馳せる 伝えよ稲妻 森羅万象我が想い”」


 チュチュの呪文を唱える声が聞こえた。

 

 カエルが触れている天然の植物を伝わらせて「ショック(1)」を放つ。


 「ゲコゲコッ」


 しかし、これもジャンプでかわされ当たらない。

 

 「闇雲に攻撃してもダメだ!

 私たちの魔力が先に切れちまう」


 私はチュチュに叫ぶ。

 まぁ、実際私はそうかもしれないが、チュチュの魔力はアホみたいにあるから闇雲に撃ち続けてもいつか当たるかもしれないのだが。


 「まずはこいつの動きを止めることを考えろ。

 使えるものは全部使え!」


 すると、チュチュはコクリと頷き、そして何を思ったのか闇雲に背中にずっと背負っていたショートソードを振り回しはじめた。


 ぐらぐらと剣を揺らしながら掲げては、垂直下降でグサッ!

 ぐらぐら……グサッ!

 ぐらぐら……グサッ!

 ぐらぐら……グサッ!


 と、そんなことしてるからカエルがチュチュに狙いを定め、ジャングルの植物を掴み飛んでいく。


 「何してやがる!」


 あとワンステップでカエルがチュチュをとらえるところまで来た。

 しかし、チュチュは微動だにしない。


 「バカ、逃げろ!!」


 「ゲコゲコッ!!」


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