素晴らしい光。
大きな葉っぱの向こう側が光で照らされ、ヒトと十字架のシルエットが浮かび上がる。
そしてその光は脈々とヘルガーデンの地面を伝わり、私たちの体の中をかけ巡る。
「うわぁ!!なんじゃこりゃ!!!」
得体の知れない光が体の中にぃぃぃ!
私は驚き、光を掴もうとしたが、光は掴めるはずもない。
だが、不思議だ。
光はただ体の中を通り抜けるだけ……
まったく痛みや害を及ぼす気配がない。
いや、それどころか、光が通うたびにみるみる力が滾ってくる。
そして、しばらくそのまま光は脈打ち続けた後、弱くなっていった。
私が光の源であると思われる十字架を見ると、ヒトの形がみるみる縮んでいくのが見て取れた。
私たちは口を開けて見ていることしかできなかった。
そして光続けていたソレは、チカチカと点滅の感覚を広げていき、それに同調して地面の光も私たちの中の光も点滅しはじめたかと思うと、十字架の光も地面の光も消えてしまった。
「……何だったんだ……」
私たちはどうすることもできず、ただ見ているしかできなかった。
不思議だ……とても奇妙で不可解なのに、とても気分がいい。
ふと自分の手が足に触れた。
あのウロコ蛇の鱗模様がついてしまった火傷の跡だ。
だが、そこにあるはずの凹凸は無かった。
綺麗サッパリ、つるつるの太ももに戻り、傷1つ無くなっていた。
「もしや……!!」
私は慌てて冒険者カードを確認した。
【ユリ・リリス】
女 12歳
LV2
魔法適性:火・闇
体力:58/58
魔力:100/100
筋力:35
敏捷:128
物防:78
免疫:890
魔耐:5
幸運:1
スキル:【『女嫌い』『バスト(A)』『器用』『温度操作(2)』『ドレインタッチ(2)』】
このスキルを習得しますか?
《女の敵》
チーム所持金:500コレイ
「やっぱり、全回復してやがる……」
何が起こったんだ?
まさか今の光のおかげ?
けど、あの光は何だったんだ?
え、まって謎が多すぎて処理しきれないんですけど。
「うぉえ!?」
驚きすぎて変な声が出ちまったじゃないか。
なにがそんなに驚いたかって!?
はいここ注目!!!
スキル:【『女嫌い』『バスト(A)』『器用』『温度操作(2)』『ドレインタッチ(2)』】
注目すべきは「バスト」!!!
「BからAに戻ってる!?」
えっ、なぜに!?
嬉しいけれども!!
えっ、これも今の光のおかげ?
それともDキスの……いや、Dキスは確か止めるだけだよな?
戻すとなると迷宮の最奥にいるロリモンにキスするのが条件だよな?
えっ、初Dキスでイレギュラーとか、どこが要因とかわかんねぇじゃねぇか!
「けど、あの鬼死女神の言っていることは滅茶苦茶だが、嘘ではなかった……
となると、やっぱりこれは光のおかげか……」
うん、そう考えるのが自然だろう。
きっと全回復パワーのある光は、私の胸もおまけで戻しておいてくれたのかもしれない。
私は嬉しさのあまり、我が胸を揉みしだいた。
「おおお!!サンキュー謎の光!!!
けどどーせなら胸も全回復でAAAにしておいてくれたらもっとサイコーだったけどな。
まぁ、贅沢は言えねぇな。
とにかく感謝だぜぇ!!!」
私はまるで宗教信者がやるように(?)十字架にむかって手を合わせて2礼2拍手1礼した。
そして生き生きとした顔をチュチュに向ける。
「チュチュ、明日からキスする必要なくなった。
私はこの光様の恩恵に預かってりゃ楽に、しかも胸のサイズを戻してくれることがわかった。
だからお前も無理してキスしてくる必要ないからなっ」
なんと素晴らしい。
このままずっと第2フロアにいたいくらいだ。
まぁ、そうはいかないのだが、取り敢えず第2フロアでは焦らず進んでいって大丈夫そうだ。
「よしっ、じゃあ明日に備えて夜明けまでグッスリ眠るぞ!
おやすみー!」
私はとても清々しい気持ちで再び眠りについた。
そんな私をチュチュが白い目で見ていることとは露知らずに。




