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“十”印とおやすみ!


 先輩冒険者たちが地図に記した“バッテンマーク”。

 それは、本当に“ばってん”だった。


 どういうことかって?

 そのままの意味。

 

 この荒れたジャングルの中に突如“バッテン”が出現したのだ。

 だから、そのって“バッテン”って何だよ?

 

 「これは……十字架か?」


 そう、私たちの目の前には、高さ2メートルほどの大きさの木製十字架があった。


 人工物か、自然現象かと言われれば、明らかに人工物。

 けど、なんでこんな所に十字架?

 しかも、その十字架の中心には……


 「見るなっ」


 十字架の中心には、肉が腐り落ち、乾燥した目玉にハエが集った元ヒトと思われるものが縛り付けられていた。

 

 そのあまりのグロさに、私の肩に顎を乗せて反対側を見ていたチュチュが振り返らないように頭を押さえつける。


 頭をあげかけていたチュチュはおとなしく再び私の肩に口をくっつけた。


 「いったいこれは……うっ」


 鼻を突く腐敗の悪臭に、思わず顔をしかめる。

 このヒトは、このヘルガーデンに来た冒険者だったのだろう。

 まだ骸骨になりきっていないという事は、そんなに昔のものではないという事。

 モンスターに殺られたのか?

 けど、なんで十字架?


 「ここはダメだ、行くぞ。

 地図のこの“十”マークが全部コレだとしたら、辿っていくのは気が進まねぇな。

 ちょっと大回りでも、別の道へ行くぞ」


 「リリス、大丈夫?」


 「正直言って大丈夫じゃねぇな……」


 私の体力はもう限界だった。

 それに、日も落ちてしまっていた。

 夜のジャングルは危ないというのは本能的にも分かるものだな。


 それでもこんな気味悪いものと一緒にひと晩過ごすだなんてまっぴらごめんだ。

 そう思って私が後退りしたその時、遠くで獣の遠吠えが聞こえた。

 夜行性の動物たちの活動時間だ。


 「しっ……仕方ねぇ、今夜はここで寝るとするか。

 まぁ、でっかい葉っぱでもかけときゃ夜中目が覚めてもコレが視界に入るこたぁねぇだろ」


 そして私はチュチュを十字架を見せないようにして地面におろし、その辺にあるバナナの葉っぱぐらいある大きな葉っぱで十字架を隠した。


 「よし。

 あーつかれたぁー。もう寝るっ、何と言われようが私は寝るっ!」


 わざとらしくこう言うのには訳があった。

 フェルとの道中、私たちは2回の夜を過ごしたんだが、その時私はかたくなにチュチュのキスを拒んだのだ。

 

 なんでって?

 フェルが横で寝てんのにキスなんかできるかぁぁあ!


 まぁ、おかげで私の胸は今やBカップ。

 しかも、夜が明ける時、つまり呪いの発動時、私の胸の痛みは胸が大きくなるに比例して増すらしい。

 放置すりゃ痛みも増しますよってカラクリ。

 くそぉ、まじ鬼死女神っ。


 だからフェルと別れた今、チュチュは役目を果たそうとしてくるに違いない。

 それを阻止するため、私は早く寝るのだ。

 というわけで、おやすみ〜!


 


 「リリス、」


 ほれ来た。狸寝入りを決め込むぜ。


 「おやすみ」


 はいはいおやすみ。って、あれ?


 そぉ……


 私は寝返りをうち、薄目を開けてみる。

 

 するとチュチュはもう、スースーと寝息を立て、本当に眠ってしまっていた。



 「って、寝るのはや!!」


 それでも完全にチュチュは眠ってしまった。



 「まったく、体力は無い、回復も遅い、役目も果たさない……いったいこいつ、何しに来たんだ?

 

 って、そりゃさすがにむごいな。

 逆に、今のいままでよく起きてたと思うぜ」

 


 あー、でも今夜もあの痛みにまた今夜も襲われるかと思うと眠るのも気が滅入るな……

 それにまた胸がデカくなんのも……


 けどまだB……次はC……うん、お相撲さんだってもっとある人いるし、大丈夫……大丈夫……


 自分を安心させるように言い聞かせ、私もゴロンと横になる。


 うっしゃ、呪いめかかってきやがれ!私はお前に負けやしない!!


 と、いうことで今度こそ、


 「おやすみ!」




おかげさまでブクマ100件到達!

ありがとうございます!!!!


予想より早く到達してしまい嬉しい限りですが記念イラストがまだです……申し訳ない。。


でき次第アップさせていただきます!

これからもどうぞ、リリスとチュチュの成長を見守ってやってください♪

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