これぞまさしく裸の付き合い
はぁ、最悪だ。
体は臭いし、粘液まみれのところをあんなにたくさんの人たちに見られるし。
っていうか、ここはどこだ?
王都と呼ぶにはイメージが違う。
何というか、王都にしては錆びている。
おそらく、ここは王都ではなく、どこかの小さな街だろう。
「チュチュ、ここはどこだ?王都ではないよな?」
「分からない。ワームツムリのテレポーテーションはランダムらしいから」
なんてこった。
となると、ここがどこで、どういう街なのか知る必要がある。
ギャングの街とかだったら危ないからね。さっさと出ていく必要がある。
しかし、さっきの街人の様子を見ると、それは無いと思う。
油断は禁物だが、焦ることはなさそうだ。
それに、まずはこの粘液まみれの体をサッパリさせたい。
どこか湖みたいな場所はないものか?
……ん?水の音がするぞ?
どこだ?
もうこの際、公園の噴水でもいいから、この粘液を洗い流させてくれ。
「ここだ」
私が見つけたのは、集落から少し離れた林の側にひっそりと佇む水車小屋だった。
その小屋は今にも崩れそうなほどボロボロだったが、横に取り付けられた水車はしっかりと水の力で回っていた。
水路は溝が深く掘られ、トンネル状になっているため直接水路に体を浸すことは出来そうにないが、水車から汲み上げられている水をシャワー代わりにできそうだ。
さて、そうと分かったらさっさとこの粘液を洗い流させてもらおう。
しかし、それには1つ問題がある。
それは、チュチュは女であるということだ。
水車のシャワーとして上手く使えそうな箇所は1つ。
この水車はなかなか立派なもので、私とチュチュが横に並べば同時にシャワーを浴びられるだろう。
しかし、もう1度言うが、チュチュは女である。
これが問題となるのには2つの理由がある。
1つ……私は女のシャワー浴びなんか見たくない!ということだ。
仲良く一緒にシャワータイムなんて、まっぴらごめん。
女の体なんて見たくない!
2つ……私の中身は男だ。
さすがの私でも、正真正銘女であるチュチュとシャワーを浴びるのは、なんか……マズイ気がする。
というか、チュチュも嫌がるだろう。
だが、一刻も早くこの生臭いドロドロ粘液からさっぱりしたい。
それはチュチュも同じだろう。
だけど私の中身は男。
チュチュは嫌がるだろうし、私だって女の体なんか見たくない。
……いや、よく考えたら、いま自分も女の体だったわ。
ははっ……
って、そういう問題じゃなくて!
中身が男の私と、正真正銘身も心も女であるチュチュが私と一緒にシャワーを浴びるのは何というか……うーん。
「……っておい、チュチュ!?」
考え込む私をよそに、チュチュは大胆に服を脱ぎはじめた。
張り付いたワンピースを器用に脱ぎ捨て、一糸まとわぬ姿に。
「や、やめろ!こっちを見るな!」
「……」
「あぁ、もういいよ!
先にサッパリしろよ!
ったく、身勝手なやつだ!」
そして妙な沈黙が流れた。
早くシャワーしてくれよ。と、視線を送るに送れない。
どうしたものか。
しかし、
「リリス、ワンピース1人じゃ脱げないの?」
チュチュのこの一言で、私は思わず振り返ってしまった。
はいぃ!?
なんの心配をしているんだか。
そこじゃないでしょーよ!
「馬鹿にすんなよ!?
いくら私の中身がワンピースなんか着たことも脱いだこともない男だとしても、それくらいは分かるわ!
見てろよ!
……いや、やっぱ見るな」
「……」
「だから見るなって!
……って、あれ?」
剥がれない……
ワンピースが粘液で張り付いて上手く脱げない。
クソ。ズボンとTシャツなら短いからすぐに脱げるだろうに!
この粘液、マジで鬱陶しい!
そもそも、ワンピースって上から脱ぐのか?下から脱ぐのか?
あぁダメだ!上手く脱げねぇ!
「かして」
えっ!?
チュチュ何を?
ま、まさか!
「わっ!チュチュ待て、私1人でぬg※^★๑#˘?@!!!!!」