私は助ける力が無い。
「やっば……」
「それな……」
「キングに報告だ……」
私がベイクしたウロコ蛇は、意識があり悶えている。
チュチュがショックさせたウロコ蛇は意識もない。
残りの3匹は、何やら相談していたが、その2匹を置き去りにして逃げていってしまった。
いや、そんな事はどうでもいい。
むしろ早くどっか行け!
私は、自らの雷系統魔法「ショック(1)」にやられ、体力:0となってしまったチュチュに、どう触れていいのか、触れていいのかすら分からず、へたりこんでしまった。
体力:0ってなんだ?
0になったら、どうなるんだ?
ギルドの職員さんに尋いておけばよかった。
0になったら、死ぬ……のか?
私はそれを確かめたくて、チュチュの心臓に耳を当てた。
音は、しなかった。
「そ、そうだ『ドレインタッチ』で……」
私の闇系統魔法、ドレインタッチは、エネルギーを移動させることができる。
カレンが私にやったように、私の体力をチュチュに移動させればまだ間にあうかもしれない!
一瞬私はそう考えた。だが……
「だめだ、私の持っているドレインタッチのスキレベは2。
確かカレンは、“スキレベ4までは体力を相手から奪い取るだけしかできない。体力を与えるようになれるのはスキレベ5から”って言ってた……」
つまり、今の私にはチュチュを助けられる可能性すら無いのだ。
私は、自分の弱さを嘆いた。
自分の愚かさを悲観した。
私がドレインタッチ(5)を持っていれば……
私がチュチュのウロコ蛇も「温度操作」で対処していれば……
私が怒りに任せてウロコ蛇たちの前に飛び出さなければ……
私が第1フロアでチュチュの全回復するまで待っていれば……
私は女が嫌いだ。
だからって、女は死んでいいなんて思っていない。
「ごめんな……チュチュ」
ポタリ、ポタリと、握りしめた拳の上に、水滴が落ちた。
本物の死を目の前にした恐怖に、私は涙を流していた。
だけど、恐らくそれだけが理由じゃない。
けれど私は、まだそれが何なのか、分からなかった。
「リリ……ス……」
「!?」




