体力:0
私に巻き付く、ヤラしい縄を解くため、私は「温度操作(2)」をマックスファイヤーで発動させた!
「熱っっっつ!!!」
その熱さに思わずウロコ蛇も飛び退いた。
透明なウロコから白い煙が出ている。
やったね、ザマーみろ!
けど、
「痛っ!うぁぁ熱いっ!!!」
それは私も同じだった。
本来、「温度操作」は遠距離で物体に発動させるもの。
それをこんなに全身密着した状態で発動させれば、火傷するのは当たり前だ。
しかも、「温度操作(2)」は、まだ発動させたことがなかったためマックスファイヤーでの威力は未知数。
私はなんと危険なことを……
けど、これで「温度操作(2)」の威力は把握できた。
マックスでだいたいプラス35度といったところか?
ウロコ蛇の体温は知らないが、人間と一緒で平熱36度5分として、ウロコ蛇は一瞬、71度5分となったわけだ。
となれば、そんな高温のものに触れていた私の肌も火傷する。
よって私の絶対領域に、醜いウロコ模様の火傷ができてしまった。
ピンチを脱せたのはいいが、諸刃の刃もいいところだな。
「ってことは……まずい!」
この諸刃の刃作戦は、使用スキルによって自分に返ってくるダメージの効果が異なる。
私の場合、使用スキルは「温度操作(2)」。
跳ね返ってきたダメージは火傷。
「チュチュ、まて!」
「“馳せる馳せる 伝えよ稲妻 森羅万象我が想い”」
遅かった……
今、チュチュが私と同じことをしようとするなら使用スキルは「ショック(1)」。
これは、伝導性のものに触れて一方向に電流を流すというもの。
つまり、ウロコ蛇の頭に電流を流せば、その尻尾に向かって電流が流れるのだが、今その尻尾にチュチュの体も繋がっていて、回路を成している。
つまりチュチュも感電するということ。
しかも、チュチュの魔力値はアホみたいに高い。
なにせ、あの巨大ミズタマを1発で爆発させたからな。
スキル(1)でアレとか、(2)以上になったらどうなるんだよ。
ははっ、笑える。
いや、笑ってる場合じゃねぇ!
チュチュの体力値はマックスで22。
孤独死草にやられた時4になって、そこから回復する時間はあったが全回復までは至ってなかった。
そしてハシゴ登りうんぬんで疲れたところへ特大「ショック」だ。
私は、感電したウロコ蛇を無造作に掴んで投げ捨て、地面に倒れて動かなくなったチュチュのポケットから冒険者カードを取り出す。
その体力値を見て、私の血の気が引いた。
──体力:0
「は?……体力値0?」




