本人の意志とは無関係に事は順調に進みまして。
「行くぞ、カレン」
まるで何事もなかったかのように、カレンを連れその場を立ち去ろうとするアーティ。
「まって、私まだリリスとお話している途中よ」
いやいや、こんな状況でそんなこと言えますかね。
やはりダークエルフは残酷な生き物なのだろうか?
「そいつは火系統か闇系統の新しいスキルをどう習得しようかと考えていたんだそうだ。
さぁ、もういいだろう、誰かに見られると面倒なことになる」
「あら、闇系統魔法なら私もアーティも教えてあげられるじゃない。
そうだわ、私とアーティがリリスに闇系統魔法を教えてあげればいいのよ!
ね、そうしましょう!」
「何をばかな……」
カレンの提案を一掃しようとしたアーティだったが、カレンの“教えたい”意欲に溢れるオーラに押され、諦めのため息をついた。
「わかった。なら尚更場所を変えよう。
リリス、ついて来い」
「やったぁー!
よろしくね、リリス!」
なんだか私の意思など無関係に事は進んだが、まぁいい。
だってこれって、とてもありがたいじゃないか。
謎の少年、アーティとダークエルフのカレン。
どちらも闇系統魔法の使い手で、アーティの強さは私も見た通り。
おそらくカレンも、もともと魔法の扱いに長けている種族であるからよほどの使い手とみられる。
こんな2人に闇系統魔法を教えてもらえるなんて千載一遇の大チャンスだ。
先を急ぐ私は、一刻も早く強くならなくてはいけないからね。
細い裏道を速足で通り抜けながら、私はスキル習得にやる気を出し、そして……
「リリスはいつから冒険者なの?」
「リリスって私たちと同じくらいだと思うけど何歳なの?」
「リリスのLvはいくつなの?」
「リリスの髪と瞳、ピンク色で綺麗ね!親に似たの?」
「リリスの今日の午後の予定は?」
「リリスは他に仲間はいるの?」
「リリスは職業なにしてるの?」
「リリスの好きな食べ物はなに?」
「リリスは……
……と、開けた場所に出るまでカレンの質問攻めを食らい続けることとなった。
(それと、私がロクなものを食べていないと聞いたカレンは、バックからクッキーのようなものを出して、私に食べさせてくれた)




