勇者の連れは…
【アーティ】
リリスの命を救ってくれた謎の人物。
何が起こったのか?
全く見えていなかった私は、不安と恐怖に身を固くしていたら、麻袋の口が開き、私を助けてくれたRPGの主人公の顔が見えた。
後ろで縛った紺色の髪に、白い肌。
瞳はビー玉のように大きく、どこまでも吸い込まれていってしまいそうなネイビーブルー。
少年は手際よく猿ぐつわと手足を縛っていた紐を解くと、さり気なく手を差し出して私を立たせてくれた。
「怪我はないか?」
放心状態の私に、少年は問いかけた。
「あっ、はい。
助けていただき、どうもありがとうございます」
慌てて感謝の言葉とお辞儀をする。
「この辺はお前のような奴が来ると危険だ。
なぜこんな路地に入った?」
ええ、そんな事は2次元オタクの私も充分理解していたつもりなのですが……
「ちょっとスキル習得について考え事をしていて、気づいたら迷い込んでて……」
「スキル習得?」
「私、冒険者なんです。
って言ってもまだ3日目。
これから迷宮目指すのに私の適正魔法、火系統魔法と闇系統魔法のスキルを増やしたいのに方法がわからず、どうすればいいかと悩んでいたんです」
「そうか。だが、これからはもっと周りを見て歩け。
でないと冒険者カードの一言欄に“奴隷”の文字が刻み込まれるぞ」
「き、気をつけまs……」
「あーーー!こんなところにいた!」
その時聞こえた声は、上からのものだったので、私は思わず顔を上げた。
するとそこには黒い肌に、金髪のラビットツインテールが光り輝く少女がいた。
少女の背中には黒いビロードで出来ているかのような羽。
そして、尖った耳。
間違いない、この子は……
「ダークエルフ!?」




