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ピンチに現れた勇者様。

 

 とは言ったものの……


 「何から手を付ければいいのやら」


 チュチュと一旦別れ、ギルドを出たはいいが、どのようにしてスキルを習得しようか。


 スキル習得には、一定のLvと一定の学習が必要となる。

 私のLvは……


 「ん?そう言えば!」


 私は今朝のことを脳内再生する。

 つまりチュチュの私の鑑定結果を思い出す。

 

 あの時はAAダブルエーのショックでそれどころではなかったが、確か私のLv、1から2に上がっていたぞ!?


 もう1度、よーく思い出してみる。


【ユリ・リリス】

 女 12歳

 LV2

 魔法適性:火・闇

 体力:58/58

 魔力:42/100

 筋力:35

 敏捷:128

 物防:78

 免疫:890

 魔耐:5

 幸運:1

 スキル:【『女嫌い』『バスト(AA)』『器用』『温度操作(2)』】

 このスキルを習得しますか?

 《女の敵》

チーム所持金:4500コレイ




 うん、間違いねぇ。

 Lv2になってる。

 あのミズタマとの死闘のおかげだな!

 ってか、温度操作も、スキレベ(1)から(2)になってんじゃん!

 どーして気が付かなかったかねぇ。

 なんとも喜ばしい!


 けど、あの死闘でレベルがどちらも+1しかされないとは、なかなか鬼畜だな。

 「温度操作(1)」なんて、100発以上は撃った気がするぞ?


 うーん。まぁ、グダグダ言ってもどうにもならねぇ。

 そんなことより、「温度操作(2)」は、「温度操作(1)」と比べてどれほど機能アップされているのだろうか?気になる。


 と言うわけで、なにか手近なものの温度を操作してみよう!

 

 と思ってあたりを見回す。

 って……


 「なんか、ヤバい感じ……」


 考え事をしながらふらふら歩いていた私は、いつの間にか裏道に入ってしまっていた。

 しかもなんか、いかにも怪しい商売人がいたり、道の端に人が転がっていたりしている。

 

 表道は平和そのもののデビュールだが、1歩脇道にそれれば危険な香りがぷんぷんしている。


 さすが異世界の中世ってことかな、ゲームの世界ならここでイベント発生して可愛い二次元嫁を主人公である私が助ける展開なのだが……

 

 「!?」


 「静かにしなっ」


 どうやら私が二次元嫁のポジションらしい。

 って、そんな呑気なことを言っている場合ではない!


 ゴツゴツした大きな手が私の口を塞いだかと思うと、目の前に目の釣り上がったチビ男が私に猿ぐつわをはめ、さらに両手足を縛った。


 「ぐへへへ、なかなか良い面してんぜ、こいつは高く売れる!」


 「ねぇ〜この娘、いくらになるかなぁ〜。おれっちもうお腹ペコペコだよぉ〜」


 どうやらと言うか、やはりと言うか、こいつらは人さらいらしい。

 女子おんなこどもをさらって、売り飛ばし金を得る、雑魚悪役の定番だ。


 人相も“いかにも悪いです”という感じの3人組で、ゴリラ、キツネ、ブタときた。


 キツネが私を縛り終えると、ブタの持っていた麻袋に私を詰め、おそらくゴリラが担ぎ上げた。


 くそっ!このぉ!えいっ!


 自由を奪われた手足をバタつかせてみるがダメだ。

 助けを呼ぼうにも、声にならない叫びが小さく漏れるだけ。

 魔法発動の詠唱すらできない。

 まぁ、私の持っている「温度操作(2)」がこの状況を打開してくれるとは微塵も期待していないのだが。


 しかしこのままではマズイ。

 奴隷商に売り飛ばされるか、オークションにかけられるか。


 どちらにしろ、そんなのは嫌だ!

 今の私は幼い女、しかも三次元。

 そんなモノを買っていく奴なんて、変態ロリコン極まっている!

 物好きな成金ジジイが定番だが、生憎私は女嫌いではあっても男が好きという訳ではない。

 BLの方は守備範囲外だしね。

 

 って、やっぱりそんなこと言っている場合ではない!

 どうすりゃいいんだ、この状況!

 やばい、怖い、誰か……誰か来てくれ!



 「おい待て」


 「ああん?」


 袋の外から、ゴリラ、キツネ、ブタ以外の声が聞こえた。

 

 「その袋はなんだ。まさかお前たち、人さらいじゃないだろうな」


 「なんでぇ、このガキ。おめぇも売り飛ばされたいのか?

 ま、男は大した金にならねぇがな」


 「やはりそうか。なら容赦は必要ないな」


 なかば楽しげに言う声が聞こえた次の瞬間、ゴリラのうめき声が聞こえ、私の入った麻袋は地面に叩きつけられた。


 「ヤロォ……調子に乗んなよ!」


 そしてまた次の瞬間キツネのうめき声が聞こえた。


 「えぇっとぉ……じゃあおれっちはこの辺で……」


 仲間を置いて逃げようとするブタの声が聞こえたかと思うと、やはり次の瞬間、ブタのうめき声が聞こえた。


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