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いざ、迷宮へ!…の前に。
「迷宮入りするにあたって、1つ使えるスキルを習得しておく必要があると思う」
依頼の受付をしたあと、ギルドの食堂で水を飲みながら私たちは作戦会議を始めた。
「私たちの使える手札って、100歩譲ってみても“温度操作(1)”と“ショック(1)”、それと“鑑定(3)”だろ?
あとは女嫌いとか無口とか、なんの役にも立たないスキルだけだ」
そもそも、女嫌いや無口はスキルなのかどうかすら怪しい。
「私たちはもっと攻撃スキルを増やすべきであると思うんだが、なんせ時間がない。
だから、速攻習得できて、役に立つスキルを各自1つ以上習得してから迷宮に向かうとする。
幸い、8つの迷宮のすぐ近くに、テレポーテーションの魔法陣が設置されているらしく、ヘルガーデンにもデビュールから一瞬で移動できるそうだ。
だからスキル習得に時間を割く。
ヘルガーデンは今日の午後から。
午前中はスキル習得に励むように!」
陸海空軍朝礼の如く、私が命令を出すと、
「いえっさぁー」
と、寝ぼけたようなチュチュのゆるーい応答が私の勢いを削いだ。




