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百合ってロリって迷宮攻略!~女嫌いリリスの苦難~  作者: いおり
第三章 シャローム地下都市
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私の胸を揉むんじゃねぇ!


夜のシャローム地下都市。

ちょっと前までは魔術道具の天井が、偽の星空を映し出していた。

けれど、今はその壁は取り壊されている。

都市が破壊されたついでに、天井も破壊して取っ払う予定だそうだ。


これからは、本物の星空の光がシャローム地下都市に降り注ぐことになるだろう。


それまでの間は、シャローム地下都市の全ケモノ族たち一人一人がランタンを作り、各家の前に吊り下げて灯りとしている。

その形や絵柄はなかなか個性が滲み出ており、目に見て楽しい。

シヴァはランタン一つ一つに駆け寄って眺め、次に駆け寄っては眺めを繰り返して喜んでいる。

まったく、ガキだ。


「どう思う?」


私が背中のチュチュに尋ねた。


「魔法元素が流れてきているからコレー様の魔法が発動しているけど、魔術道具の抵抗があるぶんリリスの胸はそこまで大きくなれなかったんだと思う」


むにゅむにゅ。


「そうじゃなくて! ……って、何の話だ?」


「チュチュはここに来てからあんまりリリスとキスしてない。なのにリリスの胸はそんなに成長してない」


むにゅむにゅ。


Dで成長してないとか言い切ってほしくない。

けど、確かに呪いの進行はここに来てから遅い気がする。

これはチュチュの言う通り、閉鎖空間だったシャローム地下都市だから起きた、呪いの進行抑制効果なのだろうか?


むにゅむにゅ。


「………」


むにゅむにゅ。


「………」


むにゅむにy……


「おいコラ、チュチュ! 私の胸を揉むんじゃねぇ! たたき落とすぞ!」


「だってリリス、チュチュとの約束わすれてる」


「ああ? 約束?」


私の背中でコクコクと頷くチュチュ。

え、約束? なんだっけか? 私、チュチュと何か約束したっけか?


「リリス、チュチュとキスする約束。シャロームの舞の優勝賞品」


「………あ」


忘れてた。

完全に忘れてた。

記憶から消去していた。


私がチュチュの賞品に対して完全忘却スキルを発動させていたと悟ったチュチュは、コチっと私の後頭部に額を押し付けてきた。


「そんな怒るなって。別にもっといい賞品もらったっていいだろ。今からでも遅くないから何か別のものにしたらどうだ?」


「リリス、余裕かましすぎ。リリスの胸はもうこんなになっちゃってる……」


むにゅむにゅ。


「ふっ、今回ばかりはお前が墓穴をほったぞ。私はこの閉鎖都市にいる限り呪いの進行が遅くなるとさっきお前自身が考察した。

もうすぐ一度リセットできるとして、私はここにいる限りもうしばらくは健全な体でいられる。

あー、私もうここに住もうかな! とか私は考え始めているのだよ!」


額が一度離され、再度押し付けられた。

チュチュが何か……bとa、kとaの組み合わせで何か言った気がするが、無視無視。


ぱっと、チュチュが上体を急に後ろにやった。


「リリス、でも」


「でもじゃない」


「でももうすぐここの天井は無くなっちゃう」


「………」


そうだったああああああ!!!

天井が無くなれば魔術道具による抵抗が無くなっちまうじゃねぇかあああああ!!!


「おーい、そっちのスパナなげてくれぃ」


「あいよー」


夜行性のケモノ族が、昼間働いていたケモノ族と交代で、二十四時間、天井の撤去作業を続ける。


「すとぉぉぉぉぉーっぷ!

撤去作業中止〜! 騒音で被害届けが出ていまぁぁぁす!」


「出てない。リリス、無駄な抵抗はやめるの」


「うぐっ……」


たしかに、私の私情で都市計画を……真の平和の象徴を壊すわけにはいかない。


「それよりリリスは、チュチュとキスするの」


チュチュが顔を近づけてきた。


「ちょっ、すとっぷ! こんな人前でやめろって!」


「じゃあ人前じゃなければいい?」


「そうでもない!! ああもう、私の話をちゃんと聞け!」


そうだそうだ、そもそも私はこんな話がしたかったんじゃない。

それに、私はもうこの胸をもう一度リセットできる寸前のところまでいるのだ。


「私がどう思うか聞いたのは、レアの事だよ!」


そう言うとやっとチュチュは顔を離した。


私が気になっていたこと。レアのことだ。

私がチュチュの中に眠る記憶から見たレアは、底抜けに明るい、人の良さというか、人が好きというか………だって、リヒトの死に際、あいつが言った言葉は、「任しとき、リヒたん」だぜ?

なのに、今のあいつはまるで別人……さっきから私、ケモノ族に対してヒトって言っちまってるけど、別にいいよな?

っと、それはいいとして。

今のあいつは何というか、人が嫌い、信用ならない、近寄るなオーラをふんだんに放っている。


いったいレアに何があったのだろうか?

いや、私は気がついていた。


「チュチュはどう思う?」


私は再び質問した。



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