正真正銘のアホだ!!!
瓦礫の撤去作業は終了。
汗と泥まみれになった私はカラパの宿へと戻ってきた。
「あ〜つかれたぁぁぁ〜」
「リリス、おかえり」
「おかえりー」
怪我のため、作業に参加出来ないチュチュとサボり魔シヴァが私を出迎えた。
そして2人の傍らには、ゴーレム人形を祀る塔の平和システムからシヴァが救い出したロリモン……私とチュチュの記憶が正しければこいつがレアだ。
「まだ起きねぇのか、そいつ」
「ずっと寝てる」
チュチュがレアのミミを突っつくと、ミミはピクっ! と、そこだけ驚いたような動きをするが、当の本人はスヤスヤ寝息を立てているだけだ。
「おいシヴァ。ちょっとこいつの尻尾を引っ張って起こせ」
「ええー、そんな事したらかわいそうだし、なんでボクにやらせるのさぁ? そんなに起こしたいならキミが自分で起こしてよ」
「お前な、なんで私がわざわざ女を起こさにゃならんのだ」
「キスするため」
「ちげー! ………くはないが………」
チュチュの言い方は悪すぎる。
私は胸がでかくなる呪いをリセットするために、儀式を行いたいだけだ。
私のバストサイズは、今は見るのも恐ろしいが、推定Dはいってしまっていると思う。
女嫌いの私としては実に耐え難い数値だ。
けど、そのために嫌いな女とキスしなければならないなんて……何が悲しくて私はこんな負のスパイラルを繰り返しているのだろうか……
「けど本当にそろそろ起きてもらわないと。晩メシもあるし……」
その時、バサりと布団がめくれて少し風を感じた。
「………メシみゅ!?」
ぐぅぅぅ~〜〜っ、とお腹の音が鳴り響いた。
だが、それより私たちがきになったのは、
「………“みゅ”???」
水色に黄色のグラデーションがかかった髪。
尻尾の方も先の方が黄色い。
けれど、水色と黄色の取り合わせは毛並みだけではなかった。
開かれた大きな目。
瞳孔は縦長の筋で、光に当たるとキラッと光る。
その左目はチュチュやシヴァと同じ水色。
そして右目は黄色だった。
オッドアイってやつだ。
「メシはどこや? お腹空いたみゅっ! 腹ペコみゅ〜!」
サッサっと急激に起こした上半身を動かして布団の中やらチュチュのスカートの中やらシヴァの後ろを見回す。
そしてそんな所にあるはずもない、私の髪を分けてメシを探そうと手を伸ばしてきたのを私はもちろん制した。
「………お前、だれや?」
「だれや、じゃねーよ!!」
目覚めたかと思えば何やってんだこいつ?
つーか、“メシ”に反応して起きたのか!?
いじきたねぇ!
その時、部屋の扉が開かれて、カラパが晩メシを持ってきてくれた。
「あいさ、お待ちどうさん。……っと、おうおう、ようやくそっちの子も起きたのかい。けど悪いね。今日は食材が足りないからこれをみんなで仲良く分けて食べな。んじゃな」
特に感動するでも特別驚くでもなく、ただ運んできた晩メシだけ置いて早々に行ってしまった。
あの酒豪ババア、そういえば昨日の夜もどこかへ出かけてたな。
きっとどこかの飲み屋でまた飲み比べているに違いない。
「………」
「メシみゅぅぅぅぅぅ〜!!!」
「えっ、ちょっ!?」
ドーム状に盛られた黄色い穀物。
スパイスの効いたスープ。
少し硬いパンのようなものに野菜、肉、牛乳、芋煮をガツガツと、あっという間に一人で平らげた。
「うおおおいっ!?」
「ふぅ〜食った食ったみゅ〜」
「………」
えっ、こいつレアだよな?
チュチュとシヴァの姉妹だよな??
なんか全然雰囲気ちがうんですけどぉぉぉ!?
「ところで、本当にお前達はだれや? ここはどこや? うちは誰や??」
「………」
こいつ………
「チュチュたちは冒険者。ここはシャローム地下都市。レアたんはレアたん」
「みゅみゅっ? そうだったみゅ。うちはレアや。それで……ちゅちゅって何や?」
アホだ!!
「チュチュはチュチュの名前。他にも名前はある。こっちはシヴァたん。そっちがリリス」
淡々とレアに私たちの紹介をするチュチュ。
レアは両サイドの私とシヴァとチュチュをサッサっと代わる代わる見回す………と、
「みゅみゅみゅーーー!! 変なヤツらに攫われてしまったみゅーーー!!!」
「はぁぁぁ!?!?」
「ヘルプみゅーーー!!!」
正真正銘のアホだ!!!
猫の日(2/22)だとさっき気がついて、“うちのケモっ子、ネコちゃんの予定じゃん!”と思ってストーリー急いで書きました笑(せっかくなんで、ね笑)
イラストどうでしょう!?
いつもはスマホの小画面で描いていますが、今回はパソコンで描いてみました〜いえーい♪




