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百合ってロリって迷宮攻略!~女嫌いリリスの苦難~  作者: いおり
第三章 シャローム地下都市
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どっちから殺られたい?


「やったか!?」


魔力およそ15といったところか。

チュチュの“雷鳴”がショシャナットにクリーンヒット。

強烈なフラッシュに目がまだ痛い。


……殺っただろう。

私たちは、シャローム地下都市の偽せ平和の守護者、ゴーレム人形ショシャナットの破壊に成功した。



かに思えた。


「チッ……フラグなんて建てるんじゃなかった」


放射状に黒焦げとなった地面の真ん中は凹み、その中心から乳白色の髪が輝いた。


「もう、危ないなぁ。あたしが土で出来てたから良かったものの、あんな破壊力のある雷をマトモな人間がくらったら、ひとたまりもないよ」


そうだ、ぬかった。

土属性は雷属性に強い。戦闘において属性による効果を考えるなんて、基本中の基本じゃねぇか!


「さてと、そろそろ決着をつけないとね。あたしは平和主義者なんだから」


ええっと、土に強い属性ってなんだっけ!? 水か!? ああでもその法則ってローリアビテの魔法にも通用するのか!?

ってかそもそも水属性の魔法が使える奴なんて、私たちのチームにはいねぇし! (適性ある奴は二人もいるのに!)


「そっちはもう魔力スッカラカンなんだよね? だったらあんまり一方的になるのも可哀想だしなぁ。苦しいのは嫌だもんね? 分かる分かる。じゃあ、一瞬で終わらせよっか。大丈夫、痛くしないから」


どうする!?

ショシャナットの言う通り、もう私もチュチュも、魔力は0。

肉弾戦をするにしても苦しい。

チュチュはパワーブースターも使えないから、逃げも隠れもできない。


「えっとぉー……それで、どっちから殺られたい?」


どちらにしようかな、と私とチュチュを交互に指差しながら舌なめずりをする捕食者。

ケモノの本能的に、こういった場面では確実にモノにできる方を狩る。


「よしっ、決めた」


そう言ってショシャナットの静止した指先が示した先には、チュチュが両脚をぐにゃりと曲げてへたり込んでいた。


「やめろ!」


気がつくと私は走り出していた。

精一杯、渾身の力を込めて地面を蹴る。


「だめだ、やめろ、ショシャナット!」


だが、無情なショシャナットは片手を高く掲げると、その周りにナイフのような石を無数に出現させる。


「せめて一瞬で終わらせてあげるから」


ショシャナットとチュチュの距離はわずか三メートルほど。

駆け出した私とチュチュの距離はまだある。


「くっそ!」


防御のための盾を捨て、走る。

そして、飛び込んだ。

だが、


(くっそ、間に合わねぇ!!)


私とチュチュの距離は、明らかに遠く、ショシャナットの、魂のこもっていない石の瞳が鈍く光ったのが分かるだけだった。



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