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百合ってロリって迷宮攻略!~女嫌いリリスの苦難~  作者: いおり
第三章 シャローム地下都市
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つまりこれは、ただの殺し合いだ。


塔の上の方はシヴァに任せた。

次は、チュチュとショシャナットだ。


「チュチュ!」


パワーブースターを履き、ショシャナットが盛り上げる土柱を蹴り倒すチュチュ。

ショートソードを横薙ぎに振り、ショシャナットに襲いかかる形相はどこか狂気に満ちていた。


「壊す……チュチュが……壊さなくちゃ……」


よく聞くと、チュチュはそんなことを言っていた。


「ったく、あいつにも“病み”スキルがあったのか? ああいう病み方はシヴァのよりタチが悪い!」


とっとと止めさせなきゃな。


私は盾を構えて、飛び出した。

魔力が底をついた私は今、魔法を使うことができない。


それに、チュチュだってそんなにいま魔力を持ってないはずだ。

いつまでパワーブースターが保てるか分からない。

それに、あいつの脚はまだ完治していない。パワーブースターで無理やりギプスのように固定しているだけだ。

……あいつ、よく戦ってられるな。


「あれ? リリスも来たんだね」


飄々としたショシャナットの声音も、チュチュとの戦闘で表情と合っていない。


私にも攻撃を仕掛けてきた土柱をかわし、チュチュのもとへ。

かっさらうようにして、ショシャナットから距離を取る。


「チュチュ!」


「……リリス」


サッと手が冷たくなった。

近くで見ると、チュチュは想像以上にボロボロだった。

無理やり固定している脚は、炎症を悪化させて紫色に腫れ上がり、その上からさらに血の赤が流れていた。


「ごめんね、リリス。チュチュ、殺らなくちゃと思って……けどまだできてない……」


「んなこといいから! お前はもう休んでろ!」


なにが“殺らなくちゃ”だ……

こいつ、何をこんなに……?


「だめ……チュチュも殺らなくちゃ……リリス、来たなら、リリスも、ショシャナットを、殺るよ」


「“殺るよ”って、お前なぁ……」


やるよ、の文字が“殺”を意味していることが伝わってくる。


真っ直ぐショシャナットを見据える目。どうやら決意は固いようだ。

私がどうこうできることでは無いと悟るしかない。


「分かった。チュチュ、あと魔力はどれだけ残ってる?」


チュチュは自分の冒険者カードをチラッと見て、


「20」


と言った。


「20か、ギリギリだな。けど0の私よりはいい。よし、作戦だ。私がショシャナットを引きつけるから、お前はその間に土柱に“雷鳴”を仕掛けておけ」


チュチュの雷系統スキル、“雷鳴(1)”。

これは注ぎ込んだ魔力のぶんだけ威力が増す。

20でどれだけやれるか分かんねぇし、パワーブースターの分も魔力は減るし、一発勝負だが、やるしかない。


「チュチュ、リリス、どこにいるの? あたしを壊すんでしょ? あたしは壊されたくないから、二人を始末しなくちゃ夜も眠れないよ。あっ、ゴーレム人形は眠らなくても大丈夫なんだけどねっ」


呑気で陽気なショシャナットの口調は、こうやって聞くと、猟奇的な奇妙さで背筋が凍った。


くっそ、ウシって草食動物だろーが。狩られる側から狩る側へ、被食者の逆襲ってか? まるでホラーだな。


「よし、行くぞ」


狩る側vs狩る側。

つまりこれは、ただの殺し合いだ。




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