ま、まじでどーしたクジャト!?
チュチュの捜索。
シヴァ&ショシャナットは、シャローム地下都市の西側を。
私とクジャトは、東側を探すことにした。
「おーいチュチュー。いたら返事しろー。他人に迷惑かけるなー。出てこーい」
東側のこの道は、確かクジャナ達の家がある方向で、少し前に通ったのだから見覚えがある。
「はあー、悪いなクジャト。こんな事に付き合わせちまって。けど、お前の指示なんだからなんとか探し出してみせようぜ」
チュチュの身勝手な行動とはいえ、それでチュチュと話がしたかっただけのクジャトまで巻き込んでの捜索をすることになったのには管理者である私にも責任がある。
まぁ、クジャトがチュチュとしたい話ってのが、私とチュチュのキスのシチュエーションの相談というのが少々申し訳なさを抑えている要因になっているのが救なのか何なのか……うーん、複雑だ。
「リリス、貴方は本当に何も覚えていないのですね」
「へ?」
ん? どうしたクジャト?
しばらくクジャトと二人で歩いていると、突然クジャトがシリアスな雰囲気で変なことを言い出した。中二病か?
「落ち着いて聞いてください。リリス、僕はチュチュさんの居場所を知っています。そして、今朝方ピタポケットを食している貴方に声をかけたのは、貴方の状態を知るため。そして、今回はショシャナットの位置を把握しつつ貴方とショシャナットを引き離したかったのです」
ま、まじでどーしたクジャト!?
「ちょっ、待て待て。 話が全く見えないんだが」
「僕がチュチュさんを探しにクジャナの部屋から飛び去ったあと、リリスがシャロームの舞が“一昨日”だったことに疑問を持ったのは僕もクジャナも聞こえていました。それから、シヴァさんの先程の言動も、シャロームの舞でリリス達が優勝したのが、まるで昨日だったような言い方でした」
「えっ、シャロームの舞が……祭りがあったのは昨日だろ?」
当たり前の記憶を確認するように、私は都市を見回す。
祭りは昨日の夜遅くまで行われていた。だったら、その痕跡はまだ都市のどこかに残っているはずだ。どこかに、どこかに……
だが、私が探し求めているような祭りの旗や紙吹雪、大規模なステージは、たった一夜にして跡形もなく消え去っていた。
「リリス、あなたは今日と、一昨日の祭りの日のあいだ──つまり昨日の記憶をゴッソリ奪われています」
「そんな……奪われているって、いったい誰が? 何のために?」
「ここまでの話の流れで分かりませんか?」
いや、分かっている。分かっているけれど、それこそ信じられないんだよ。
「リリス、シヴァさん、それからゴーレム人形を祀る高い塔の管理人であるサル爺。あなた達三人は、ナンディー・ショシャナットによって昨日の記憶を消し去られています」




