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百合ってロリって迷宮攻略!~女嫌いリリスの苦難~  作者: いおり
第三章 シャローム地下都市
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どんだけ長風呂なんだよ!


「アダブラカタブラサラマンダーー八ァッ!!」 


と、またもや壺に頭を突っ込んだサル爺さん。今度は壺をかぶったまま何か言われてしまう前に、私は素早く壺を引っこ抜く。


「プハッ」


それでもやっぱり、プハッて言うのはクセなんだろうか? よっこいしょ、的な感じの。


「それで、なにか分かったか?」


「ふむ……お主、この塔の階段を上った時に壁は見たか?」


「壁?」


「その様子じゃと上るのに必死で見ておらんな」


図星だ。けど、うっすら何かゴチャゴチャと絵のような模様のようなものが彫られていた気がするのをぼんやりと覚えている。


「あれにはこのシャローム地下都市のゴーレム人形に関する事が魔法文字で書かれておるらしい。歴史博物館よりもずっと詳しくの」


ということは、歴史博物館や踊りで知ったゴーレム人形と冒険者の歴史はほんの一部という事だろう。私が知っているゴーレムの知識なんてゲーム内の敵キャラって事ぐらい。それもただのイメージに過ぎない。


「それで、その壁画には何て書いてあるんだ? それが私の探しものとどう関係がある?」


私の探しものはスキムミルクを出す牛──アピスと、私の胸をリセットするチュチュの姉妹──ロリモンだ。

その二つがゴーレム人形とどう関係があるのか、想像もつかなかった。


「わからん」


「ん? それは……」


今の分からんは、壁画には何て書いてあるかに対してだろうか? それとも、ゴーレム人形と私の探しもの関係に対してだろうか? 後者は調べていくうちに分かるだろうとして前者なら相当困ったことになるのだが……


「どっちも分からん」


どっちもかよ!


「じゃ、じゃあ魔法文字が読めるやつは知らねえか? どんなに遠くに住んでいてもいい。私には必要なんだから」


「それが、この魔法文字はゴーレム人形の製作者である冒険者のオリジナルらしくてのぉ」


「えっと、つまり?」


「誰も読めん」


なんてこった。魔法文字なんてその存在すら初めて聞いたし、見たこともなかった。

しかも誰とも知らない冒険者のオリジナルだなんて……

歴史博物館にもそれらしい資料は無かったみたいだし、親切に翻訳書を残すくらいなら最初っから魔法文字なんかで書かねえだろうからなぁ。きっと本当に誰も読めないんだろう。


「まじかぁ。爺さんの占いでちょちょっと読めたりしないもんなのか?」


「そんなことが出来るならもうやっておる」


ですよねー。


「まぁ、取り敢えず私もその魔法文字とやらを観察してくるよ。ありがとな、爺さん」


「うむ。また転がり落ちぬように気をつけるのじゃぞ。この塔は上りきる直前になると平になるでのぅ」


そりゃ何とも危険な塔だな。


「魔法文字はここから少しだけ上った所から始まる。まぁ、適当に見て帰ってくるべし」


小さく手を振る爺さんに軽く手を上げて応え、私は二度と上るかと思った高い塔の階段に再び足をかけ、目が回るような螺旋をゆっくりと回り始めた。




しばらく上ると、爺さんの言った通り、壁にアルファベットともハングル文字とも言えない奇妙な文字がつらつらと連なりだした。


もちろん見るのは初めての文字。

読めもしなければ書ける気もしねぇ。

これのいったいどこが魔法文字なんだか。子供の落書きにしても酷い気がする。

けれど、一文字一文字、それらは丁寧に壁に彫られている。

何が書いてあるのかさっぱり読めないけれど、なんだか見ているだけで物悲しい気持ちになってきた。


「これ以上見てても何も変わらねぇな。よし、少しだけサンプルとして覚えてもう帰ろう。うっかり高いところまで行っちまうとまた転がり落ちて今度は私まで怪我しちまうしな」


そして私はすぐ横に並んでいる文字列のうちのひと塊を適当に選んで覚えた。


下りるのはやっぱり上るよりずっと楽ちんだった。




宿に戻ると、まだそんなに時間は経っていないというのに、チュチュとシヴァはすやすやと眠りこけていた。


「ま、今日はいろいろあったしな」


けれど、シヴァの服装が変わっていない。

こいつ、風呂に入れって言ったのに入らずに寝ちまったのか?

ショシャナットも自分だけ入ってもう帰ったのだろうか? けど、爺さんの話だとショシャナットってあの高い塔に帰るんだよな? 特にすれ違ったりしなかったけど、ショシャナットと私は違うルートを通ったのだろうか?


まぁいい。私もシャロームの舞に二回も出場して流石に疲れた。

こいつからが寝ている間にひとっ風呂浴びてくるとしますか。


そう思って、更衣室のスダレを分けた時だった


「………!?」


そこに、服を着ないで背中をこちらに向けているショシャナットがいた。


私は慌てて後退りし、更衣室から離れた。


(な、なんでショシャナットがいんだよ? 見たところ、ついさっき風呂から出てこれから着替えるって感じのシーンだったけれど……ってことはどんだけ長風呂なんだよ!)


幸い、ショシャナットは私に気がついていないらしい。

よかった。本当によかった。


(けど、今のって……?)


私が更衣室で見たものは、ショシャナットの裸だけでは無かった。


ショシャナットの背中には、文字が刻まれていた。アルファベットともハングル文字とも言えない、奇妙な文字が。


(けど、私はその文字を知っている。あれは私がさっき、高い塔の壁で覚えてきた単語そのままだった。



תנשושםיקמעה

 

 挿絵(By みてみん)

 

ショシャナットが長風呂な理由をもちまして、ショシャナットの正体に関するヒントは出し尽くしたかな?って思います!


最後の文字は、コピペでググってもらっても多分出てきません笑

※訳した方でググったらこの文字が出てきます。

※ヘブライ語です。


庵はTOEIC600点以上取って来いとかいう、鬼畜でブラックな指令を受けてしまったので、勉強時間がもうあと1週間くらいしか取れませんがちょっと頑張ってきます…

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