やっぱり女は頭がおかしい。
盛大に跳ね上がり、屋台の屋根に叩きつけられたイヌ耳の女。彼女が持っていたバスケットの中身も散乱し、ぶつかった屋台も崩れ、あたりは騒然となる。
荷馬車から慌てて降りてきた垂れ耳イヌの女。
「ご、ごめんなさい! 大丈夫?」
いや、大丈夫なわけあるか。
イヌ耳の女は……意識はあるようだな。ぶつかった場所が布張りの屋根だったのが幸いしたか?
けど、足は大怪我。屋台は台無し。賠償金や慰謝料、懲役、後遺症が残ればそれだけでは済まされない。
「だ、大丈夫よ。ちょっと驚いただけだから。それより、屋台の店主さん、お店をこんなにしちゃってごめんなさい」
「いいのよいいのよ、お店はまた組み立てられるもの」
わらわらと集まった人々は、何故か笑顔で、跳ね飛ばされたネズミの女まで崩れた屋台の組み立てに協力しだした。
「………やっぱり女は頭がおかしい」
「リリス、あれは少し違うと思う。チュチュでも分かる」
「………だよな。さすがに今のはおかしいと言うより、もはや狂気だな。ケモノ族はみんなああなのか?」
あまりの驚きに、思わずショシャナットに質問してしまう。それほどまでに衝撃的な光景なのだ。
「まぁ、確かにケモノ族の体は丈夫。それこそヒトの倍くらい耐久力はある。だから馬車で跳ねられたのはケモノ族にとって、そんなに怒るようなことでは無いのだけれど、それだけじゃない」
なるほど、ケモノ族ならではのワンシーンだったというわけか、イヌだけに。いや、イヌだけの話ではないのだが。
「それだけじゃないってのは?」
「ふふふー、知りたい? それじゃあ、あたしの名前は?」
なんか腹立つ。さっきから何度も何度も名前を言い聞かせてきたくせに。さすがの私も、あんなに何度も言われればさすがに覚える。
「………………なんだっけ?」
「ショシャナット!!!」
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