表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百合ってロリって迷宮攻略!~女嫌いリリスの苦難~  作者: いおり
第三章 シャローム地下都市
202/264

そんなことで男が争うもんじゃねぇ。


 それにしても、ここの人たちは穏やかだ。

 もらったピタポケットを口いっぱい頬ばりながら歩く私達。

 おっ、中は揚げた野菜が入っているのか。うめぇ。


 「ねぇ、ちょっとあれ見て」


 突然シヴァが私に言いつつ道の向こうを指差す。その顔は引き攣って青い。まずい、病気の前触れだ。


 「あれケンカしそう。ケンカはダメだよ、怖いよ、怖いよ、怖いよ、怖い、怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い……」


 お前の方が怖ぇよ。

 けど、シヴァが見た方向には確かに一触即発の場面が見える。


 真ん中に華やかなかっこうをしたウサ耳の女。その右側にはトラ耳と尻尾の男、左側には獅子耳と尻尾の男がお互いを睨み合っていた。


 「おいおい、女の取り合いなんて無駄なことをおっ始めようってか? そんなことで男が争うもんじゃねぇ。私が仲裁に入るか?」


 これから訪れようとする、もしもの時のために私は現場へつま先を向けるが、


 「あたしの名前はショシャナット! 大丈夫よ、見てて」


 うるさい案内人に止められた。ってか、本当にいちいち名乗るんだな。

 けど、大丈夫ってどういう事だ?


 首を傾げて、もう一度トラと獅子を見ると、


 「あれっ!?」


 二人はウサ耳の女を真ん中にして、仲良く肩を組んでいた。その会話に耳を傾ける。


 「がははははっ、取り合いなんて心が狭い。こんな時は三人で仲良くやろうじゃないか!」


 「そうだそうだ、つまらない事で争うもんじゃねぇな! せっかく見つけた可愛い子は分合わねぇとな!」


 んなっ……!


 「なんて心が広いんだアイツら。二股かけてた最低女を許して仲良くなっちまうだなんて……」


 「二股じゃなくて、二人同時にあの女の子にナンパしただけだと思うんだけど……あっ、あたしの名前はショシャナット。というかシヴァは大丈夫なの?」


 まだ震え、ヤヴァイ目をしたシヴァにドン引くうるさい案内人、ショシャナット。


 「あー、まぁ魔法が暴発しても厄介だし、今のうちになだめておくとするか。おいシヴァ、よく見ろ。なんも怖くなんかねぇ」


 「ケンカ……止めなきゃ………ボクが………ケンカ………止めなきゃ!」


 ん? な、なんかヤヴァイ!


 「ケンカは、やめてぇぇぇぇぇ!!!」


 うぉぉぉぉぉい!!

 まずい、シヴァが魔法をぶっ放しやがった!

 詠唱無しの無謀魔法、感情に任せたムチャクチャな爆発。

 魔力値6900もあるシヴァの魔法は魔力値100の私ごときでは止められない!

 魔法に対して体当たりでトラと獅子を守ろうと、というか保護者の責任を果たそうとしたのだが……


 「あれ?」


 空振って私は宙に転がっただけだった。ちなみにピタポケットは無事だ。


 「あれ? あれれ? 魔法が……使えない?」


 シヴァの魔法は発動しなかった。

 精神不安定で魔法が暴走することはあっても、不発に終わったことはないシヴァの魔法。


 「どういうことだ?」


 「あたしショシャナット! あたしが説明してあげる。ここでは、魔法が使えないの」


 「魔法が使えない? それまたどうして?」


 「それはn………」


 その時私達の目の前の道で、荷馬車が一人のイヌ耳の女を跳ね飛ばした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ