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ミズタマ戦再戦


 砂浜は異様な光景と化していた。

 無数のレーザービームの黒焦げ跡。

 そこら中に岩の破片が突き刺さり、粉塵が舞う。

 その中心には、一軒家ほどの大きさにまで膨れ上がった七色のミズタマが、ゴロゴロと転がり、戦場と化した砂浜を独占していた。

 奴が通ったあとの砂浜はメリメリと音をたて、湿って変色した砂が重さでカチコチに押し固められている。

 

 「まずは私がヤツの気を引く。

 そしたら、チュチュはヤツに気が付かれないように、この金属チェーンを投げて同時に『ショック(1)』をお見舞いする」


 私たちの作戦は、いたってシンプルだ。

 ミズタマを倒す方法は、ミズタマの中の魔法元素の秩序を乱し、ふっ飛んでもらうこと。

 そこで魔法元素の秩序を乱すために外部から魔法の負荷をかけてやる。

 しかし、私たちの弱小スキルでは、巨大化し、緩衝作用が強まった魔法元素の塊にはビクともしない。

 ならばものすごーく強い魔法をぶち込んでやればいいというのは目に見えているのだが、生憎私たちには弱小魔法しか手札がない。


 弱小魔法を巨大な相手に効果をもたらすにはどうするか。

 それは、広範囲的かつ同時に攻撃を仕掛けること。

 アリ1匹に噛まれても何とも無いが、たくさんのアリに一斉に噛まれると死ぬほど痛いアレだ。


 では、私たちが広範囲的かつ同時に攻撃を仕掛けるためにどうすればいいか。

 ミズタマの構造は、内側から“コア”、“魔法元素”、そして“水分”。

 そう。

 魔法元素を広範囲的に包んでいる水分。

 私たちはこれを利用させてもらうことにした。

 

 水は電気を通す。

 そして、チュチュの『ショック(1)』は雷魔法、つまり電気だ。


 チュチュの『ショック(1)』は、クズスキルであるため、静電気程度の威力しかなく、触れていないと伝導しない。


 だが、ミズタマに直接触れるため迂闊に接近すれば、ミズタマはレーザービームで私たちを阻むだろう。


 そこでこの金属チェーンだ。

 水は電気を通す。そして、金属も電気を通す。


 チュチュの『ショック(1)』を帯させた金属チェーンにミズタマが少しでも触れればあとは自動的にミズタマの巨体全体に電気が流れ、それに触れる魔法元素に広範囲的な負荷をかけられ、爆発を誘発するというわけだ。


 「理屈的には完璧だ。

 私が囮になるってところが気にいらないが、そこは幸運が著しく低い者の運命さだめとして受け入れる他ない。

 私がバカみたいに巨体ミズタマに『温度操作(1)』を連発するから、チュチュはしっかり金属チェーンを奴に届くように投げ込むんだぞ、いいな?

 よーし、ようやく決戦の時は来たぁ!

 巨体ミズタマ戦、窮鼠猫を噛むのはじまりだ!」



 再び砂浜に戻り、ミズタマを見上げると、奴は更に巨大化していた。

 

 (ふんっ、巨体化って言っても、海水吸って水膨れしてるだけじゃねーの。

 そんなハリボテはもはや通用しないぜ)


 「やい、巨体水饅頭!

 よくも私の服をビリビリにしてくれたな!

 おかげで私は女の着ていた服を着る羽目になっちまったじゃねーか!

 この恨み、今こそ晴らすべしっ」


 私は巨体ミズタマに勇ましく宣戦布告し、右手を奴の中心に指差すと、左手は腰に当て、火魔法『温度操作(1)』を発動させる。


 「“我ここに望む 全てを我の手の中に この温度を上げよ”」


 ──シュワッ……


 まるで、抜けかけの炭酸水から湧いて出た泡の残りカスのように、私の『温度操作(1)』は大量の魔法元素の中心で儚く消えた。


 顔など無いミズタマだが、馬鹿め、何度やっても同じこと。とでも言いながらニヤけているような気がした。

 とことんムカつくヤローだ。


 だが私は諦めない。

 奴に向かって『温度操作(1)』をぶっ放し続ける。


 どんなに大きな力で、未熟な私の魔法が揉み消され、何の傷跡も残せないとしても、こうして頑張って、足掻き続ける事は無駄ではない。

 だから私は全力で呪文を詠唱する。

 たとえこれが本命でないにしても、本気でぶつからなきゃ意味が無い!


 「“我ここに望む 全てを我の手の中に この温度を上げよ”!!!」


この小説内容で不愉快な思いをされた方がいらっしゃったならごめんなさい!

おっしゃってもらえたなら小説消去も考えます。

ミズタマ戦が終わったなら、それについて個人的にしばらく考える期間をもらうかもしれません。

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