シヴァとのキス。
「君、ボクの本当の力を解放できるの?」
シヴァのこの質問の答えを私の脳内メモリから検索した結果、コレーのある言葉にたどり着いた。
──お願い、リリスちゃん。
チュチュちゃんたちを助けてあげて。
私があなたに託したキスの魔法は封印されたチュチュちゃんたちの真の力を目覚めさせる鍵となってるの。
その力を引き出して彼女たちを守ってあげて!
それってつまり、今この場で私がシヴァにキスしろってことか!?
「ちょ、ちょっと待て。他に方法があるかもしれないから、もう少し他の方法を考えて……」
「リリス! 時間がない! 急ぐのじゃ!」
「んなこと言ったって!!」
キスするのに急ぐも何もあるかよっ!
こんな状況で、女にキスとか絶対に無理だ!!
躊躇する私の後ろで、ガラスケースかさらに白く光り輝き、水に気泡が現れ、動き出した。
「リリス!」
ええい!
「もう、緊急事態だからなっ!
シヴァ、ちょっと顔かせや!」
こんなに勇んでキスをしなくちゃならない私ってなんて不幸!
あっ、そういえば私の幸運値って1だったっけ。
ははっ、言えてラァ。
「えっ、ちょっと君、どうしたの? な、なんか怖いよ?」
この語に及んで逃げようとするシヴァ。
せっかく私が覚悟を決めたんだ、気が変わらないうちに早くやらせてくれ!
「シヴァ! いくぞ!」
「ふぇっ!?」
私はグイッと力強くシヴァの両肩を掴んで、そして……
──ぶちゅっ
ありったけの勇気を振り絞って、シヴァの唇に私の唇を重ねた。
「!?」
「な、なんと!!」
キスする時って、どうして目を瞑ってしまうのだろう?
目を瞑れば、視覚情報が無いぶん、唇の感触が鮮明に感じ取れる。
シヴァの唇は、チュチュよりも、ほんの少しだけ薄く、力が入っているのか、弾力があった。
シヴァの香りは、チュチュとはまた違った、いい香りがする。
これは花の香りだ。
香りだけで頭の中で花が咲き乱れるような感覚におちいる。
(ロリモンにキスって初めてしたけれど、本当にこれでいいのか? 何も起きやしねぇじゃねぇか!
私がいけないのか? キスってどうやってた? チュチュはいつもどうやっていた? 思い出せ!)
月が輝く馬小屋で、チュチュと交したファーストキス。
チュチュのキスは、柔らかくて、熱くて、気持ちよくて……
「き、君ゅっ……!?」
私は、開いたシヴァの口の中へ、私の舌を突っ込んだ。