ボクの知らないあの人。
なんだろう、この感じは。
温かくて、優しくて、心地いい。
「……!」
目を覚ますと、目の前にシヴァの顔があった。
そしてシヴァは私に何か魔法を……
「って、うぉい!」
シヴァの魔法は危険だ!
ありとあらゆるものを無差別に攻撃する殺人兵器。そんなものを寝ている間に食らっていたら……食らっていたら……ん?
「な、なに……?」
いきなり私が目をさまして大声を出したので、怯えてぶるぶると震えるシヴァ。
「なんか、絶好調……。もしかして、シヴァがやったのか?」
「う、うん。回復魔法、ボクの」
なんということでしょう!
私は冒険者カードを慌てて確認する。
【ユリ・リリス】
女 12歳
LV7
魔法適性:火・闇
体力:58/58
魔力:100/100
筋力:105
敏捷:150
物防:140
免疫:890
魔耐:5
幸運:1
スキル:【『女嫌い』『バスト(C)』『器用』『温度操作(2)』『ドレインタッチ(2)』『ツタ渡り』『ファイアーサークル(1)』】
このスキルを習得しますか?
《女嫌いの盾使い》
チーム所持金:500コレイ
「おおお! 完全復活っ! シヴァ、えらい!」
本当にえらい! よくやった!
今ならキスでも何でもできる気がする! ……や、やっぱそれは流石に無いな。
「えっ、ボクえらい? フフ、フフフフ……」
ちょっと不気味だしこの子。
うん。やっぱ無いな。
周りを見ると、チョウチョが私達の周りを大きく囲み、リンプンが私達の方へ流れないように壁を作っている。
そしてその隙間から見えるのは、ヘルガーデンの魔獣たちがゴブリン兵達と戦う光景。
多分というか、絶対シヴァの力だ。
「で、でもなんで私を信用する気になったんだ?
お前、相当病んでるのに」
あ、言っちまった。病んでるって思いっきり言っちまった。
「う、うん、えっとね、」
あ、そこはスルーしてくれるのね。助かった。
「君が、ボクのよく知ってる誰かに似ていたからだよ。それが誰かは覚えていないけれど、ボクはその人のことが大好きだったんだ」
「……」
「だからボク、君を信じてみる。そして、君とボクの大事な人を助ける」
ああ、シヴァはそれが誰だか分からないんだな。
辛い思いをして、記憶をなくして、それでも記憶の片隅にその人はいる。
その大事な人が私と重なったというのなら、私はその人に負けねぇくらい男を見せなきなんねぇだろ。
だって、こんな真っ直ぐな目で信じるなんて言われてダサいことしてたら、天国のリヒトに申し訳がない。
「よし、シヴァ。こっからは私とお前の二人で戦う。
お前の力、私に貸してくれ!」
来年からダブルスクール…兼深夜バイト…死ぬかもです笑