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長老と個性豊かな夕食会!


 さてさて。なにはともあれトロワの試験に合格した私たち。

 そして今夜は長老を招待しての夕食会だ!


 「スィス、準備はできているか?」


 「ええ、もちろんです。サンクも張り切っていますよ」


 「キッキキー!」


 そしてこれは、ただの夕食会では終わらない。

 私たちには、ある目的があった。

 それは、西の塔、開かずの扉の先にいる魔獣の正体を、しかとこの目で確認すること!


 魔術道具研究家でもあるサンクに一週間かけて魔法の水晶球を作ってもらった。


 その水晶球は、特定した者と同じ光景を見る水晶球というが、効果時間は極めて短時間。しかも使いきり。


 その水晶球を夕食会後の長老に使って、長老が西の塔の魔獣に餌やりしている視界を共有するのだ!


 「チャンスは一回。失敗は許されねぇ。二人とも、夕食会でハメ外し過ぎんなよ」


 「キキキキキ!」


 「了解です」



 ドゥとディスが主として食材調達から調理までを行い、アンとナフがデコレーションと香り付けしたご馳走が並ぶ。

 色とりどりの野菜はトロワの畑から採れたもの。


 さて、あとは本日の主役が登場するだけ。



 ──ダガダガダッダ、ダガダガダッダ♪


 ──ダガダガダッダ、ダガダガダッダ♪


 おっ、この子気味いい太鼓のリズムは!


 ──ダガダガダッダ、ダガダガダッダ♪


 「わ〜しはゴブリン賢き生き物」


 今回はソロか。


 ──ダガダガダッダ、ダガダガダッダ♪


 「やああぁっ!」


 勢いよく開いた扉の向こう側から、スポットライトを一身に浴びて登場した、我らが長老!

 

 ゴブリン10兄弟姉妹たちは拍手やら、指を鳴らしたりして歓迎ムード。

 もちろん、私とチュチュもだ。


 「やあやあ、我が愛しの子供たち!

 今宵は、わしのためにこんな素晴らしい会場を用意していただき、誠に感謝!

 このように気の利いた行為が取れるというのは、古来より賢きゴブリンの血を引くお前たちだからであろう!

 時は遡るこt……」


 「父上、お話はあとにして、ユィとセプトの育てたモウモウウシさんのミルクで乾杯だよー!」


 「おう! そうじゃな!

 ユィはええ子よ賢い子よ。

 さあ、何をしておるお連れ様! さっさと乾杯の音頭を取らぬか!」


 「えっ、私!?

 こーゆーのは、長男であるドゥとかがy……」


 「カンパーイじゃ!」


 せっかちな長老は、モウモウウシの、モウモウミルクを片手にさっさと乾杯してしまう。


 「ちょっ、え!?」


 「カンパーイ!」


 面食らった私なんか、お構いなしにゴブリン10兄弟姉妹たちも続いて乾杯して、私のグラスに自分たちのグラスをぶつけて来る。


 おそらく初乾杯であろうチュチュも、タジタジしてしまっている。

 まあ、こいつらの勢いに圧倒されない方が無茶だわな。


 「チュチュ、」


 ゴブリン全員が、チュチュとも乾杯を交したところで、私のグラスをチュチュのグラスに寄せる。


 「乾杯!」


 ──チーン

 と、上質なガラスのぶつかり合う音が響く。


 「……さんぱい」

 

 初めての乾杯、チュチュは何かに参拝した。


 ──チーン。。。


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