勝敗の行方。
「まだまだ甘いっすね、お連れ様もメシア様も」
木陰でくつろぎながら傍観しているトロワがそう言う声が聞こえた気がした。
カトロは自分の体のベクトルが上へ向いている勢いを利用して、自分に対して垂直に向かってくるチュチュのロングソードを下から上へ蹴り上げた。
「あの程度じゃあ、カトロは剣を見切れまっせ。
メシア様より上へ行ってしまったショートソードが使えないのなら、下にある脚を使えばいい。
簡単なことっすよ」
ははっ、そうだよな。
カトロはあのトロワの弟なんだ。
そう簡単に行くはずが無い。
そんなことは分かっているっ!
「キッ!?」
決め手はチュチュじゃない。
チュチュを使うのは私だ。
なら、最後は私が決めなきゃなんねぇだろ!
「リリス!」
チュチュがわざわざパワーブースターを赤にしたのは剣を刺すためじゃない。
今回は殺すことが目的じゃないからな。
こうやって、カトロを張り倒すための推進剤なんだよっ!
チュチュに押され、バランスを崩しそうになるカトロ。
私は駆け出し、落下してくるショートソードをジャンピングキャッチ。
そのままチュチュとカトロにぶつかりに行って、二人まとめて最後のひと押し。
チュチュはしっかりカトロの体にへばり付いている。
チュチュがカトロを組み伏せるような体勢のさらに上をとり、私は構えたショートソードをチュチュの背中に突き立てる。
全員の動きが停止した。
私が本気でこのまま力を込めれば、チュチュの体ごとカトロも串刺しにできる。
私達の勝ちだ。