いっけぇ!チュチュ!
カトロの空中放り投げを食らっていた最中にパワーブースターの赤い色は失った。
だがそれは、空中でチュチュがパワーブースターの電源を意図的に落としたからだ。
ロングソードで盾を弾いたカトロ。
ロングソードのベクトルは空。
そして、ショートソードのベクトルはカトロだっ!
「パワーブースター、赤」
超至近距離でチュチュがパワーブースターを出力マックスに切り替える。
カトロは時々、集中力が切れる。
その隙を縫うようにしてチュチュはパワーブースターのオンオフを切り替え、私のちょっと不自然な攻撃の意図を見破れず、盾の後ろに隠したチュチュに気がつけなかった!
私が盾を掲げた所にチュチュが背後から私の肩を使って馬跳びの要領で地面と平行に浮かぶ。
盾の縁を掴んだ私はそれこそ馬鹿力で思いっきりカトロに盾を投げる。
まったく、チュチュが軽くて助かったのもあるが、クワの振り上げトレーニングが役に立ったぜ。
「キキッ!」
突然のチュチュの出現に驚いているようだな。
チュチュが使い物にならねぇなんて、私が本気で思ったとでも思ったか?
チュチュは確かに弱いし、脆い。
だが、カトロはそれを“知っている”。
カトロはチュチュを脱臼させちまったトラウマがあるからな。
ぜんぶ、最初っから作戦通りなんだよっ!
「いっけぇ! チュチュ!」
天高く、盾の軌道を追うように跳ね上がったのは、チュチュのショートソードだった。




