クワ卒業!
ゴブリンの森。
そこで私たちの午後の自主トレが始まった。
1ヶ月後の夕食会に向けての準備も進めつつ、午前中はトロワとカトロによるマンツーマン個別レッスン。午後はトロワが考えた特訓メニューをもとに自主トレ。
こんなに贅沢な環境下で特訓して、期待に答えなければと気合も入り、私たちは1ヶ月弱のうちに、格段にレベルアップしていった。
そんなある日、私たちの練習メニューにある変化が加えられた。
「よーし、お連れ様。
もう流石にクワはいいっしょ。
前よりずっと動きが洗練されてきたし、なによりパワーが違うね。
そろそろあっしも身の危険を感じるようになってきたし、ここらで盾を使っていきやしょう」
突然のことで驚いた私だったが、次の瞬間には喜びの感情が溢れてきた。
「よっしゃぁぁぁあああ!
トロワっ! それって、私が強くなったってことだよなっ!
まじかぁー、私すげぇ! 1ヶ月弱でここまでレベルアップしたとかっ! えっ、マジでチート目前? 無双も夢じゃない? まじかー! 私にその才能があるってことかー! 最強のシールダーとうたわれる日も近いなこりゃ!」
「いやいや、そこまで言ってませんし。
そもそも、クワを卒業しただけで、盾なんて使ったこともないじゃないっすか」
グサッ!!!
「うっ……そ、そうだな。ちょっと調子に乗ってみただけだ。
まだ基礎も基礎ってとこなんだろ?
分かってますよええ。これからも謙虚に頑張っていきますよ」
「まぁ、でもなかなか筋は良かったっすよ
それに、クワはクワでも、あっしのクワを卒業したんですから、レベルアップの幅は期待していいっすよ」
ニヤッと八重歯をのぞかせるトロワ。
さっきあれだけバッサリ私のことを切ったのに、今度は持ち上げるとか……
とんだアップダウンクイズだぜ。
「んじゃ、明日から盾もってきてくだせぇ。
今日はここまでってことで。午後の自主トレも最後のクワだ」
「そうだな、じゃあ明日から盾での稽古がんばっべー!
トロワ、またよろしくお願いしますぜ!」
「はいよ、任しときな」
よっしゃ、よーやくクワ卒業!
明日から私は本格的に、シールダーの道を歩み出せる!
午後も気合を入れて行きやしょー!
あっ、トロワの口調が移ってきた。これは、いい傾向、なのか?




