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※スィスはオスです。

 挿絵(By みてみん)


【スィス】

ゴブリン10兄弟姉妹の3男。

上級ゴブリン。

黄色ゴブリン。

見た目はド○ミちゃんだが、オスなのでド○えもんという事になる…のか?


 ふぅー。一件落着したら、ハラ減った。

 今日の昼食に蛇の丸焼き追加だな。


 蛇って旨いのだろうか?

 しかも、ウロコ蛇……

 うーん。食ってみればわかるか!


 とは言ったものの、こんなに黒焦げじゃあ苦いだけだな。

 やっぱやーめたっ。

 普通に目の前のウマそうな料理をいただくとしよう!


 「にしても、トロワは本当に強いよなー。あんなに強いなら、トロワはゴブリンの第一戦力だろ?」


 ほむほむ。おっ、この肉うめぇ。


 「んー、まぁゴブリンの中では強い方っすよ。けど、ゴブリンには他に隠し玉がありやしてね。ほむほむ。おっ、この肉うめぇ」


 トロワが私と同じ肉を食った。

 同じものを食べれば同じだけ強くなれれば、楽なもんだが。


 「へぇー、隠し玉……」


 「そうそう。さっきの稽古中、メシア様の“雷鳴”を隠すためにお連れ様が森でなにか見たって言いましたんで、あっしはてっきり、ソイツが出てきちまったのかと思いやしてね」


 そういや、トロワはそんなこと言ってたな……

 

 ──まぁ、あの音は何かはわかりやせんが……それに段々凶暴化してきてる。森の木が倒されたりしてるみたいですし……まさか、開かずの部屋の猛獣が!? ちょっとあっしが見てきやすよ。



 「その、開かずの部屋ってのは何なんだ? もしかして、この屋敷にある部屋とか言うんじゃないだろうな?」


 「もちろん、そうでっせ?

 ここの西側に、デッカイ扉のついた塔がありますでしょ?

 3階分ブチ抜いてるやつ。あれっすよ」


 そういや、ここの屋敷の西側はデッカイの円筒形の塔になっていた。

 私たちが今いるのは屋敷の東側だから、西側は全然行ったことがなかったな。


 「ご興味があるようでしたら、このあと私がご案内しましょうか?」


 「うわぁ! スィス。いきなり足元から湧いて出てくるな!」


 みんなで昼食をとっていたのに、どのタイミングでテーブルの下にもぐりこんだんだよ!?

 急に出てくるからビックリしたじゃねぇか。


 「おっと、これは失礼。で、どうされます?」

 

 うーん、屋敷の西側か。

 なんか、東側と違ってジメジメした雰囲気があったな。

 お化け屋敷とまでは言わないが、単独じゃ近寄り難い雰囲気だ。

 スィスが付いていてくれるのなら安心だろう。

 なんかあった時はポケットから道具でも出してくれそうだしな!


 と言うのはさておき、まだゴブリン10兄弟姉妹の中で実態が知れていないのはスィスだけだ。

 この男はいったいどんな役割なんだろう?


 「じゃあ、頼む」


 「承りました」


 承りながらスィスは私の皿の上にある木の実を2、3個つまんでムシャムシャした。

 いや、別にいいけど自分の席に戻れよっ。


 「そうだ、スィス」


 と、声をかけたのはドゥ。


 「巨大ケーキを作るのに巨大なキッチン用品がほしいんだ、発注お願いできるか?」


 「巨大なキッチン用品ですね。承りました」


 「キキー」


 と、今度はアン。


 「キーキキキキィ、キッキキキキキ〜」


 「香水瓶ですね。承りました」


 「あっ、あっしもこの前テミぶっ壊したんだった」


 「トロ姉はテミですね。承りました」


 「キー……キキキ、キキキキキキィ」


 「カト兄は鉄ですね。承りました」


 「キキキキ! キィキキキー!」


 「サンクは牛皮ですね。承りました」


 「ユィも藁がほしいのー!」


 「キキキキキキキキ!」


 「ユィとセプトは藁ですね。承りました」


 「キィ…」


 「分かっています。ナフは試薬ですね。あとで必要なものを一覧にしてください」


 「スィス姉、僕も古い図鑑は読み終わったから新しいのほしい」

 

 「ディスは図鑑っと。承りました」


 なんだなんだなんだ?

 みんなスィスにめちゃ頼んでるじゃねぇか。


 なるほど、兄弟姉妹の得意を全て回しているのはスィスだったのかっ!


 縁の下の力持ちスィス! だなっ!


 「では、お洗濯とお裁縫ができ次第、発注しておきますよ」


 ……スィス、お前はきっと良いお嫁さんになる。

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