狂気のカミナリ様
「スキップすきすきランランルー♪」
いやぁ、スキップなんて何年ぶりだ?
久しぶりにやると、無邪気だった子供の頃に戻ったみたいだ。
まっ、今はロリにされて十分子供だけとなっ。
「あはははっ
らんらんるぅー♪」
「らんらんらんらn……ドバぶっ!!」
心晴れやかに、頭の中は花畑。
そんな私たちのお花は青い地獄の炎によって焼き払われた。
「チュ、チュチュ!」
「リリス、お帰り」
「お、おまえ、なんだそりゃ! いったん落ち着けっ!」
「大丈夫。処刑の準備はできている」
モウモウウシの小屋の前。
小屋の扉とチュチュの間には、震え上がって声も出ないウロコ蛇3匹。1匹は失神して白目を剥いている。
そしてなにより、扉の中央に白く光り輝き、今にも爆発しそうな魔法陣。
「ま、まさかあの時最後に仕込んだ『雷鳴』……」
チュチュは、感知センサーのための「雷鳴」とは別に、“ごしんよう”と称して扉の真ん中に「雷鳴」を仕込んでいた。
たっぷり魔力を注ぎこまれ、その威力を最大限まで発揮すべく3時間じっくり煮込まれたアツアツのカミナリ様。
いくらウロコ蛇のウロコが電気に強いからって、あんなの直撃したら一瞬で蒸発しちまうのは容易に想像できた。
「最後に言い残すことは?」
「ヒッ………」
これはいくらなんでもまずい。
チュチュは怒り狂うあまり、冷静な判断力を失っている。
あんな特大魔法、ウロコ蛇3匹じゃあ受け切れるわけねぇ。
漏れた稲妻がチュチュにも直撃するぞ!?
「わ、わかったチュチュ。解除! 解除だっ!」
「チュチュは、許せない」
そしてチュチュは、「雷鳴」発動の詠唱を始めた。
「──時は来た 我と己の愚かさに喝采せよ”!」
バッと、私の手が振り払われ、ユィがウロコ蛇とチュチュの間に割り込んだ。
「ダメーーー!」
ユィっ!!!
こんな時に私は振り払われた反動で躓いてしまう。
チュチュもユィに気づくが、もう止められない。
このままでは、ウロコ蛇が受けきれなかった稲妻が、ユィに当たってしまう。
チュチュも駆け出し、手を伸ばすが、チュチュの速さでは間にあわない。
稲妻は家畜小屋の扉から発動され、稲妻は、目を覆う間もなく、ウロコ蛇3匹を飲み込み、勢い余って次の獲物を襲いにかかる。
ピカッと、稲妻が物体にぶつかった衝撃で放射線状に散り、辺り一面にその爪痕を残しながら消えていった。
チュチュの“雷鳴”が黒焦げにしたものは、ウロコ蛇3匹とそして……




