ミズタマ戦決断
【ミズタマ】
核の魔法エネルギーの塊、魔法元素をレーザーのようにして攻撃してくる。
水の塊のようで掴むことができない。
歪む視界にミズタマが光ったのが見えた。
奴らはレーザービームをはなつ直前、白く光る兆候がある。
だからこれまでスレスレで反応できていた。
その光が見えたということは、やばい!
焦った私は、フラフラとしてしまい上手く歩けず、尻餅をついてしまった。
そしてキラッとした光が目の片隅に映った。
もうダメだ……!
死を覚悟したのは、これが2度目。
1度目は、ワームツムリの悲劇。
あの時は、チュチュが私を助けてくれたんだっけ。
まぁ、そもそもチュチュのせいで死にかけたんだがな。
私が身構えた時、レーザービームではない何か別のものと衝突した。
衝突の勢いで私はレーザービームの軌道から逸れ、間一髪で直撃を免れた。
頭を何かにガッチリ固められている。
私はすぐに、それが何か分かった。
「チュチュ!?」
それはチュチュの両腕だった。
チュチュが間一髪で私を助けたのだ。
「おいっ大丈夫か!?
血が……」
レーザービームが掠めたのか、チュチュの肩から赤い血がドロドロと流れ出ていた。
「だいじょうぶ」
いつもと変わらぬ口調でチュチュは答えた。
チュチュはいつも表情が無い。
だからと言って、こいつも人間だ。
痛みだって感じるはずだ。
それなのに、
肩をえぐられたチュチュは、苦痛に悶えるどころか、顔色ひとつ変えない。
そしてまた、次のミズタマが光りだした。
「マズイ……!」
放たれたレーザービームを横っ飛びでかわす。
私たちのすぐ後ろにあった岩が木っ端微塵に砕ける。
打つ手が見つからない。
誰だ?ヌルゲーでがっぽり稼げる冒険者はサイコー!
とかほざいていた奴は?
……私だぁぁぁあ!!!
あの時の自分を殴ってやりたい!
冒険者ナメんなよ!
こっちは命懸けなんだ!
命かけてたったの10万コr……
「あっぶね!」
くそ、次から次へと。
やってくれるじゃねぇか、あの水饅頭ヤロー。
私は和菓子か洋菓子かだったら断然和菓子派なんだけど、水饅頭だけは嫌いになりそうだぜ。
私は手近に転がっていた岩の破片を、1体のミズタマめがけて投げつけた。
岩が当たったミズタマは、弾け飛ぶようにして水しぶきと化したが、次の瞬間には元の楕円形に再生していた。
こいつには物理攻撃が効かないらしい。
まるで本当に、ただの水だ。
さっきから何度も岩を命中させてはいるが、結果は同じだった。
近づこうとすればレーザービーム、こちらの遠距離攻撃は通用しない。
「捕獲とか、難易度高すぎるだろ。
こっちは命かかってんだ、そんなまどろっこしい事してられねぇ!」
向こうは私たちを殺す気なんだ。
ミズタマの捕獲は諦めよう。
私は決めた。
今から全力で、こいつらを倒す!




